第六十話 謹賀新年

明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

 今年のテーマは、やっぱりスポーツ的クルー
  ジングの薦めです。誰でも、セーリングの醍
  醐味を味わって頂きたいと思います。シンプ
  ルでも美しいヨット、シングルでも乗り易いヨッ
  ト、誰でも乗りこなせるようになるヨット、初心
  者でも、ベテランでも、自分のレベルに応じた
  セーリングの仕方から上達し、ベテランの域
  に至るまで、臨機応変に対応できるヨット。そ
  ういうヨットをご紹介していきたいと思います。

  初心者用のヨットがあるわけでは無く、ベテラ
  ン用と分ける必要もありません。良いヨットは
  誰にとっても良いと思います。

  それで良いヨットとは何か?初心者でも乗り
  易く、それでいてベテランの方の要望にも応
  える幅の広さを持つヨット、安定性に優れ、
  バランスが良く、操作性の良いヨット、それな
  らベテランのハイレベルなセーリングにも応
  えられる。但し、セーリング自体に重きを置く
  ヨットです。これなら初心者も腕を徐々に上
  げていけば、それに応じたセーリングができ
  ます。

  今年はセーバー社からセーバースピリット36
  とアレリオンの33がデビューします。それに、
  コルゲート26とE33の取り扱いも開始します。
  きっと、面白い年になろうかと思います。

ヨットというものをもう一度考えていただきたいと思います。そのヨットで何をしたいのか、どうせ乗るなら、自分の最もしたい事を最優先に、それを最も面白く実行できる方法や、ヨットの種類、艤装などを考えて、実行にうつす。旅をしたい人はそうすれば良いし、キャビンを楽しみたい人はそうすればいい。ただ、私は、その中でも、セーリングそのものを楽しむという事を最優先に考えています。それは、セーリングにこそ、全てがあるからです。優雅さ、爽やかさ、スリル、時には危険を伴う事もあるでしょう。でも、全てがあるからこそ、挑戦するに値するし、全てがあるからこそ面白いのだと思います。それらの要素をいかにコントロールしていくかに、醍醐味があります。それも自分のレベルに応じた挑戦ができるのも、ヨットの良さです。うまい人だけが面白いのではいけません。初心者でも、そのレベルで面白いし、挑戦もあれば、優雅さもある。うまくなればなったで、それに応じたセーリングもできる。それがセーリングだろうと思います。

優雅さだけでは、ヨットはつまらなくなります。爽やかさだけでは、ヨットは退屈になります。その反対側にあるスリルなどをうまくコントロールして、乗り回すところに面白さが潜んでいます。一切のリスクを犯さないのは安全ではありますが、面白さは無くなります。と言っても、危険をどんどん犯すという事では無く、自分のレベルに応じた挑戦をする事です。すごい事で無くて良いわけです。ちょっとだけスリルを感じる事、緊張感を感じる事、それが緩んだ時との差が面白さではないでしょうか。セーリングに緊張と緩和を持って、それをうまく意識的にコントロールしていく。そういう意味では危険を犯すという事ではありません。緊張と緩和をコントロールするセーリング、そのバランスを楽しむ。それがセーリングの醍醐味ではないかと思います。そして、それを実行するのに、より楽にできる。コントロールし易い。そういうヨット、艤装の仕方があると思います。それはいくつもの方法があると思います。今年も、そういうテーマで行きたいと思います。そして、ひとりでも多くセーリングを楽しむ方が増える事を願っております。

今年もどうぞ宜しくお願い致します。

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