第四十九話 社交場

ヨットはだいたい大人の遊びです。そうしますとマリーナは大人の社交の場という事になります。ヨットはセーリングして、その機能を遊ぶ物ですが、マリーナで楽しむ事ができれば、一層ヨットライフは楽しくなる。という事はマリーナは社交の場でなければなりません。ヨットを手に入れるという事は、セーリングを楽しむと同時に、マリーナでのオーナーとしての社交の場を手に入れる事にもなります。今までは、マリーナの外から眺めていたのが、中から眺める。どんなマリーナであっても、内と外ではえらい違いなのです。オーナーとしてそこに居るのと、外部者として居るのとでは全く違う。違わなければなりません。それがマリーナです。

ヨットを買うという事は、ヨットだけを手に入れるのでは無く、保管するマリーナを含めたトータルとしてのヨットライフを手に入れる事になりますので、どんなヨットを購入するかとどこのマリーナに置くかも大事な事かと思います。ただ、現実はそうたくさんのマリーナが無いので、できるだけ近くに置きたいのが普通ではありますが。

日本のヨット界がもっと発展しますと、マリーナによっては格差が出てくる。それは競争によってもたらされるかもしれません。高級マリーナは当然ながら、他には無いサービスがなされなければならない。そして、そこのヨットクラブはステータスを持つとかです。この格差は一見悪い事のように思えますが、反面、価格の安さが売りのマリーナも出てくるでしょう。そういうマリーナはサービスは少なく、何でも自分でやるのが当たり前かもしれませんが、安いから納得できます。

欧米では既にそういう図式があり、高級ヨットがずらりと並んでいるマリーナもあれば、庶民的なマリーナもあります。かえってその方が社交の場として栄えてくるのかもしれません。でも、安いマリーナはほっといても良いのですが、高いマリーナなら、そうはいきません。それなりのサービスが要求されます。それは高級なオーナ専用のクラブのみならず、人の接客が物を言う。何でも最後は人ですね。

とにかく、どんなマリーナであれ、マリーナは社交の場として、もっと活用されるべきではないかという気がします。ヨットを動かさない日でも、マリーナでも楽しめる事、そういう何かが欲しいなと思います。今は場所と係留料金が主たる要素ですが、一体何が求められるのか、重要な課題かと思います。

我々業者とて同じで、ヨット売るだけが能じゃない。何かが必要でしょう。それは何か?いつも考えてはいますが、なかなかです。マリーナの経営はしておりませんので、マリーナの事はできませんが、ヨットの販売、そのコンセプトを含めた販売です。それによって、オーナーが自分のスタイルにあったヨット選び、業者選びもあるでしょう。それにどう応えていけるかがこれから大切になるような気がします。当然ながら、当社のコンセプトはデイセーリングにあります。

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