第五話 ヨットと車

ヨットを車に例える事が多いのですが、そうすると解り易い。F1のようなレーシングカー、スポーツカー、キャンピングカーとありますが、それと同じように、ヨットもレーサーがあって、スポーツヨットがあって、キャビンヨットがある。車はもう歴史が長いし、浸透してきていますから、細かく言えばもっとたくさんの種類があります。でも、ヨットはまだまだこれからで、これから先、もっといろんなコンセプトのヨットが出てくるかもしれません。否、実はもういろんなのが出ています。日本に来ないだけです。

車にセダンというのがありますが、今の車は走りの性能も良い。昔のヨットには重心も低くて、キャビンもそこそこあるというのがありましたが、今ではキャンピングカーのようになってきました。或いは、もっとセーリングを重視して、レーサーの方向に近づいている。今はキャビンヨットが主流ですが、性能の良いセダンという意味では、もう少しセーリング寄り、でも、レーサーでは無い、つまり昔のスタイルの方が良いような気がします。それで、現代の技術を取り入れる。性能の良いセダン、スポーツヨットです。スポーツの概念がバラバラですので、難しいですが、スポーツもレーサーのようなのもあるし。お勧めはクルージングヨットなんだけれども、セーリングをもっと重視したスポーツ/クルージングヨットです。それなら、キャビンもむちゃくちゃ大きくは無いが、そこそこ充分あるし、セーリングも楽しめる。こういうヨットでセーリングを堪能しようと思えば、シングルではきついかもしれません。何しろ、動けば良いというのでは無く、よりセーリングを味わうという意味では、クルーが居た方が良い。ひとりクルーを確保できるならお奨めですね。これが車で言うセダンだと思います。或いは、スポーツと言っても良いのですが、人によって受ける解釈が違っていますから、性能の良いセダンとした方が良いかな?レーサーでは無いスポーツ、性能の良いクルージング艇です。

日本の事情を考えますと、セールの付いたキャビンヨットよりも、セーリングヨットにキャビンがある。そういうヨットの方が良いように思います。

これよりセーリング性能がもっと進むと、レーサーに近づいてくる。そこまではお奨めしませんが。
それで、車で言うスポーツカーはデイセーラーです。デイセーラーはキャビンをもっと低くする事によってもっとスタビリティーを上げ、ハイテク船体で軽く、強度も高い。車ではセダンとスポーツカーが多いですから、それと同じに考えるなら、レーサーとキャビンヨットは一部の方々で、多くは、デイセーラーと私の言うスポーツヨットのほうが楽しめると思うのですが?実際は違います。

何故か?と考えますと、セーリングはレーサー、クルージングはキャビンと分かれてきたからではないか?レーサーはどんどんセーリングを追及してきた。一方、クルージングは快適キャビンをどんどん優先してきた。そしてこの両者の距離はどんどん大きくなってきた。車で言うなら、レーシングカーとキャンピングカーぐらい違う。どっちも、そんなに使う機会は無いわけです。

それで中庸であるセダンとスポーツカー、これの方が使い勝手はある。セダンはセーリングを楽しめるし、キャビンも楽しめる。スポーツカーはキャビンを少し犠牲にした分、もっと楽にセーリングが楽しめる。どちらもクルージング派にお勧めするセーリングの味わいを持つヨットだと思います。
両方を総称して、スポーツヨット、レースに出る為のヨットでは無く、セーリングを味わう為のスポーツとしてのヨットです。もっとヨットでスポーツしませんか?フィーリングを味わいませんか?クルージングとはまた違う世界です。そして、目の前の海域だけでそれができる。という事は、日常的に遊べるのはキャビンよりもセーリングです。デイセーラーを選択される方は相当セーリングが好きな方でしょう。

それで、お奨めしている高性能セダンとしてイタリアのコマー社のコメットヨット、セーバー社のセーバーヨットはもっと外洋寄りです。それとデイセーラーです。

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