第十四話 模索の時期 

日本におけるヨット歴も数十年が経ちます。何度も言いますが、ヨットでの遊びというのが、なかなか稼働率が宜しくない。動かないだけでは無く、キャビンの活用もあまりできていない。そういう状況を見、経験し、一体ヨットライフというのは、どうなのか?中にはやめてしまう方もおられるでしょうが、これからの時期は、模索の時期に入ってきたのではないかという気がします。

これまでは、他の人達と同じヨットを購入してきました。でも、何かが違うはずです。ヨットの何を、どういう風に楽しみたいか?それを皆さんが考える時期ではないかと思います。この模索の時期において、皆さんが自分に合うヨットを得て、ひとりでも多くの人達が、自分スタイルで楽しむ事ができるようにならなければ、ヨット文化が栄える事は無い。日本は海に囲まれた国ですから、ヨット文化が栄える条件はある。必要な事は自分が楽しめるやり方を見つける事かと思います。

今、ヨットは停滞気味ですが、それは模索の時期に来ているからだと思います。ヨットの一体何が面白いのか?要素はたくさんある。所有するだけで良いのか?それを考える事は、つまりは自分のスタイルが明確化され、そこに集中させるようになる。つまりは割り切る事ができる。

車は用途に応じて細分化されてきました。セダンがあり、トラック、キャンピングカー、スポーツカー、ワンボックス、4駈、、自転車も買い物用とか、マウンテンバイク、レース用とかです。浸透すればする程細分化され、その用途に合う物が採用されていく。車や自転車は趣味志向だけではありませんが、趣味性が強いもの程、特殊性が重んじられるかと思います。

すると、ヨットなんかは、実用性というより、趣味性が強いだけに、特殊性が重んじられても不思議ではないような気がします。バリバリの外洋艇、スピード重視のヨット、もちろんデイセーラーもそうです。シングルハンド用のヨット、いろいろあります。これまではまだそういう浸透性が無かった為に、キャビンばかりが重視されてきました。それは欧米のスタイルであります。もちろん、これが合う方もおられるでしょう。しかし、そうでも無い方も大勢おられるに違いない。

今のキャビンヨットが6:4か7:3でキャビン重視だとしたら、そのキャビンが有効に利用されているのならば、これは合っている。でも、そうで無いのなら、6:4か7:3でセーリング重視にするか、外洋重視にするか、或いは、また違う何かに移行するか、そういう模索の時代。

ヨット界は低迷の時期かもしれませんが、或いは、模索の時代だとしたら、これからは個性溢れるヨット、自分に合うヨット、そういうヨットが少しづつ現れ、稼働率も高くなっていくかもしれません。すると、この先はヨット文化が定着し始めるスタートになるかもしれません。

そうなるように願っています。欧米ではキャビンヨットが非常に多い。それはキャビンで遊ぶのが彼らにとって合うからでしょう。スタイルの違いです。それで日本人は日本人に合うスタイル、自分に合うスタイルを早く見つけ出す事。それが自分を楽しませる事になり、ハッピーになれる。根付くというのは、ヨットという大きな枠はありますが、その中で、それぞれが違うやり方、自分の好きなやり方で、楽しむ事ができている事、ある人はめったに出無いが、出たら数ヶ月は帰ってこない。みんながこのやり方が合うわけでは無い。ある人は、あまり乗らないが、いつもメインテナンスし、ニス塗装をし、ピカピカに磨く。ある人は午前中だけきて、ササーッと出して、すぐに帰ってくる。また、ある人は週末になったら家族でヨットに泊まっている。それが自然にできる。

この模索時期に少しづつそういう方々が増えてくる。そう期待しています。やめていかれる方もおられるでしょう。それはそれで良い。合わないものを無理にやる方がおかしい。でも、その前に、いろんな可能性を見てはどうでしょう。今やっている方法が合わないのであって、他の方法なら楽しめるかもしれません。

私はヨットのスポーツ性をお奨めしています。地域という面からヨットを見ますと、回れる範囲はそう広くは無い。一般的にですが。何故なら、行ったら帰るという事になるからです。行ったら、そこにおいといて、次の機会に、その続きをするという方法もありますが、これまた、簡単にはいかない。
それで、どこを旅するかというより、いかに走るかを楽しんだ方が、これ一般的に良いと思っています。これはひとつの提案であります。他の業者はまた別な事を提案するでしょう。それで良い。そしてピンと来た事に向かっていくのが良い。

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