第二十三話 Sailing Fun !

この言葉は当社のモットーみたいなものですが、セーリングが面白い。面白くセーリングしよう。そういう事です。セーリング自体が面白いという事が、何よりも優先されるべきであると思っています。そうでなければ、ヨットやる意味が無い。他の事はヨットでなくてもできるからです。代用が効く。しかしながら、セーリングだけは代用が効きません。セーリングを移動目的に使うなら、代用は効きます。しかしながら、セーリングを、その行為から来るフィーリングを主体にした時、これは他の何物にも替え難い。

セーリングとは、結局、そこから感じるもの、セーリングから何を感じる事ができるか、セーリングからグッドフィーリングを得たいわけです。その為に、どんなヨットが良いのか、性能を調べたり、艤装やその配置を考えたりするわけです。それらは全てグッドフィーリングを得たいと思うからであります。

ビジネスで成功したい。大金を稼ぎたい。きれいな彼女を見つけたい。良い仕事をしたい。好きな物を手に入れたい。いろいろありますが、結局は全ては、最終的にそれらを達成する事でグッドフィーリングを得たいわけです。それが幸福感になると思うからであります。物や出来事は手段であり、最終目的はグッドフィーリングにあります。

このグッドフィーリングを得る方法はたくさんありますが、重要な事は、物は手段であり、目的はグッドフィーリングにあるわけですから、それを見失わない事ではないかと思います。物が目的にすり替わる事が良くありますが、それでは、いつまでたっても、グッドフィーリングに達する事はできないのではないか。手段を追いながらも、最終的に求めている事はグッドフィーリングである事を忘れてはならないと思います。

これをすると、グッドフィーリングが得られるのか?もちろん、そうだと思ってやり始めるわけですが、いつの間にか行為そのものに意識がシフトしていきます。ここが微妙なところですが、セーリングをすると、最初はそれだけでグッドフィーリングを感じた。でも、慣れてきますと、最初の感動は薄れていきますので、常に、レベルアップしていく必要があります。うまくなったら、グッドフィーリングが多くなるだろうと思いますが、初歩レベルから一挙にレベルアップしようと無理しますと、グッドフィーリングが得られない。それどころか不快を感じるかもしれません。あくまで、レベルアップはグッドフィーリングの為であるので、少しづつの方が良い。レベルアップをしながら、その都度のフィーリングに重点を置いておく。ですから、何を感じているかは、重要な事かと思います。何をしているか以上に重要な事かもしれません。

こういうグッドフィーリングはセーリングにある。もちろん、他にもあるわけですが、セーリングの感覚はヨットでなければできない事と、セーリングは常に進化できるという点があります。どんなにグッドフィーリングを得ても、進化しないものは、やがてはグッドでは無くなる。セーリングは到達点が無い程、奥が深い。ならば、そこに向かって、知識を増やし、技術を磨き、それと同時進行でグッドフィーリングを得ていく。それが面白さの秘密ではないか?

デイセーラーのセーリングは、このセーリングに重点を置いている。しかも、セーリングに重点をと言いましても、レーサーでは無いので、ハンドリングのし易さ、スタビリティーの高さ、見た目の美しさ、そういう事に集中できるので、セーリングが中心として考えて設計されていますから、セーリングが面白いのは当然な事です。

しかしながら、そういうデイセーラーでセーリングしたからと言って、常にグッドフィーリングが得られるとは限りません。何故なら、ヨットは風がエネルギー、このエネルギーにも強力してもらわねばなりません。ですから、良い時もあれば、悪い時もある。ところがですね、物事は良くしたもので、例えば、出る度に最高の風がいつも吹き、最高のセーリングがいつもできると仮にした時、人間というのは我侭で、飽きてくるんですね。グッドがやがてグッドでは無くなる。それで、風のように気ままで、いつ吹いてくれるか解らない時、グッドになったり、バッドになったり、これが良いようです。
バッドばかりでは人間は続ける事ができません。グッドばかりでも同様。それで、時々変わるのが良い。今日は最高のセーリングだったと思う時と、今度こそはグッドフィーリングをと思う事、その両方がちりばめられているのが良いようです。なる程、自然は良くできてる。それで、腕が上がれば、グッドとバッドの内容も変わります。腕も変われば、感受性も変わる。それで、デイセーラーはよりグッドフィーリングが得やすいと思います。グッドとバッドの中間点位置が高いと思っています。

また、デイセーラーでは無いにしろ、グッドフィーリングを得たいならば、セーリングに集中する時を持つ事ではないかと思います。すると、こうしたい、ああしたい、どうしたら良いか等々の疑問も沸いて来る。そういう疑問に答えを見つけていくのもグッドフィーリングを得る要素かと思います。セーリングが面白いというのは、何も最高のセーリングをした時ばかりでは無く、疑問を解いた時、新しいフィーリングにであった時、進化した時、変化を受け入れられた時などではないかと思います。

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