第三十五話 スポーツ？
| セーリングと言いますと、あまり気にかけられない方が多く、レースはしないからと言われます。そこで、いつもレースはしないでも良いのですが、普段セーリングをされる時、やはり寛ぎも大切ですが、ヨットですから、セーリングも大切、と言います。そこでいつもこの返事にストレスを感じるのですが、まあ、それは勝手な事なんではありますが、でも、セーリングした方が楽しいと思います。 そのセーリングが大変になる、体力的な問題、クルーの問題等々、オーナーによってはいろいろな事情をお持ちかと思いますが、それならセーリングしないより、楽にセーリングできる方を考えても良いのではないかと思う次第です。それで、敢えてスポーツと言うのですが、そうすると、またレースはしないからと返事が来る。 メインセールを上げるのがしんどいなら、電動ウィンチがある。メインファーラーがある。敢えて、セルフタッキングジブにしても良い。セールを上げないのなら別ですが、上げるならスポーツした方が面白いのではないでしょうか？ちょこっとでも良い。ゆっくりした動作で良い。性能の高いクルージング艇はゆったりもできれば、走る事もできる。 クルー不足とか言われますが、いろんな原因があると想像できます。でも、一番の原因はヨットが面白く無いからではないかと思います。クルーとしてヨットに来た。でもする事は殆ど何も無い。セールを上げれば、後は、飯食ってるか、飲んでるか、おしゃべりか、そしてたまのタッキングぐらい。これではちっとも若いクルーは楽しくない。１度乗れば、２度目はもう結構。 先日、初めてヨットに乗るというフランス人を乗せてセーリングをしてきました。かなりの強風で、スプレーを浴びて、ズボンはびしょびしょ。それでも、彼らはとっても喜んでいました。彼らは何も知らなかったので、コクピットに座っていただけでしたが、それでも、どんどん走るヨット、風の感じ、エキサイティングなセーリングに、彼らは大はしゃぎ。スプレーを浴びる度に大笑いなのです。ヨットの面白さはこれではないかと思います。確かに、ゆっくりとお弁当食べて、おしゃべりするのも楽しいし、これも大いにやっていいと思うのですが、それだけでは面白さに欠ける。エンターテインメント性はあるが、エキサイトでは無い。だからと言って、激しくスポーツするという意味では無く、自分達なりのセーリングをスポーツする。この日はマリーナに戻って、それからコクピットで彼ら持参のシャンペンを少し頂きました。 セーリングには理論がありますから、その理論を知って、いろいろ動かして遊ぶ。そうじゃなければ、ボートとあまり変わらないし、場合によってはボートの方がましという事もある。楽にできるように、電動ウィンチなんか使っても良い。実際、電動ウィンチなんか使いますと、これはもう楽の極みと言いますか、力なんか不要、ボタン押す力で良い。それで、任意に調整できますから、楽しめます。きちんとまで行かなくても、扱い回して遊ぶ。子供と同じです。セール調整をしようと思うとしんどいという気になり、もういいや、となる事がある。それが電動なんか使って楽にできると、案外みんなしようという気になります。本当は、誰でも、ヨットに乗るんですから、そうやって遊びたいんじゃないか？しんどいからしないだけで。楽ならやろうかという気にもなる。何故なら、その方が面白い事は本当は誰でも知っているのではないか？ マリーナにエンターテインメント性が無いので、ヨットにそれを求めるのも良くわかりますが、これには限度があろうかと思います。楽な装備をすれば、楽に遊べる。兎に角、少しでも良いので、意識をセーリングにシフトして、面白さとは何かを感じて頂きたい。メリハリを考えて頂きたいと思います。少しでも速く走らせてやろうと思うと、いろいろやります。少しでも良い。そういうのが面白いんじゃないでしょうか？動いているヨットに乗るより、動かすのが面白い。すると、マリーナに戻って、コクピットでの食事やおしゃべりが、グンと楽しくなります。若い人はもちろん、御年配の方々でも、同じではないかと思う次第です。かえって若返ったりしますね。年寄りだからといって、じっとしておく必要は無い。ぼちぼちでもやって、遊びましょう。 子供なんか乗せますと、舵を持ちたがる。それが面白いからでしょう。動かしているという感覚が生まれる。遊びの原点はここにある。うまいへたでは無く、動かしてるという感覚です。 |