第七十四話 求めるもの

いろんなジャンルのヨットに対して、それぞれ求めるものとは何か?最も多い沿岸クルージング艇には何を求め、何は重要ではないか?近所のクルージングスポットに行きます。近くと言っても、その日の夕方に着くか、或いは、2日かかるか、いずれにしろ、一般的には明るいうちに次の目的地に着きたい。そういうスケジュールですから、エンジンを使って走る。風向きが都合が良い場合はセールをあげてエンジンと併用します。すると、平均何ノットで、距離から計算して、だいたいの到着時間を予測する事ができる。セーリングだけでは時間は不確定ですが、エンジンで行けばだいたい計算できます。

セーリングはそれほど重要ではありません。それで、できるだけ使い易く、快適にする。シングルで旅に出るのはあまり楽しいとは思えないので、人数分のキャビンもあれば良いし、広い方が良い。それに後は、快適キャビンを演出する為に冷蔵庫や電子レンジもあった方が良いし、エンジンを駆けているので、バッテリーの心配も無い。燃料タンクも大きめ、清水タンクも大きめが良いですね。エアコンなんかが入ってますと言う事無しでしょう。

エアコンがあってもコクピットにまでは及びませんから、ドジャーと暑い夏の日差しを避けるにはビミニトップが快適です。それにオートパイロット、GPS、測深計があればほぼ完璧かと思います。
こういうクルージングにとって、セーリングはさほど重要ではありません。メインセールもボルトロープよりスライダーが良いし、マストグルーブにレールを敷いて、スムースにした方が良いし、カバーもブーム上に固定したスタックパック(レージーバッグという言い方もあります)の方が良いし、さらにメインファーラーの方がもっと良い。バラストは昨今では20数パーセントというヨットも出てきました。当初はなんだ?と思いましたが、よく考えて見ますと、セーリングはさほど重要でないなら、これでも充分かもしれません。水線からボリュームのある大きな船体、これに無理して大きなバラストをつける必要は無い。

広いコクピットに、コクピットテーブル、スターンには温水シャワーなんかありますと、海水浴した時なんかは良いです。エンジンはちょっと大きめで、3翼の固定プロペラ。後はカッコイイデザインなら言う事無しでしょう。

さて、難しいのはセーリングを求めた場合です。レースでも無いので、ただ速いだけではいけません。イージーハンドリングでありながら、速さと安定性と、乗り心地と、求める要求は多くなります。
イージーハンドリングと言っても、シングルかダブルか、或いはトリプルか?そういう条件もついてきます。考えますと、とっても難しい分野で、いろんなケースが考えられる。どこまで求めるかによって違ってきます。

それぞれいろんな考え方があると思いますが、ジェノアはファーラーで良いとして、そのリードブロックには前後調整できるアジャスターがほしい。もちろんバックステーアジャスターも要る。メインのトラベラーはもちろんコクピットに、それでスタビリティーは高く、重心は低く、そして、船体は軽めで、しかし強度は要る。バランスが良くて、感度の良いヨットが面白い。そしてスピンとまでは言わないが、ジェネカーをファーラーでほしいところです。

プロペラはフォールディングとかフェザリング、セーリング中のペラ抵抗は想像以上に大きいからです。そして、風向風速計とスピード計がやっぱりほしい。それにGPSがあれば、リーウェイも判る。軽い舵で、バランスラダー。舵を交替で持ちながら、それぞれのポジションを楽しむ。或いは、シングルなら、セルフタッキングもお奨めです。その場合はフラクショナルリグでメインを大きめにする。いろいろ考えられます。それだけに面白さもそれぞれあります。

セーリングを遊ぶとなりますと、世界には様々な面白いヨットがたくさんあります。気軽にスポーツする感覚でセーリングを遊ぶ。結構面白いと思いますね。自分のスタイルで、どんなヨットで、どんな艤装を施したら面白くるなるか、考えて見ても良いかと思います。

同じヨットでも、クルージングとセーリングでは全く違ってくる。クルージング艇でセーリングできても、セーリングヨットのセーリングとは全く違ってくる。でも、セーリングヨットでもクルージングはできるし、さほど支障は無いような気もしますが。

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