第四十二話 ライフスタイルの変化

子供が小さい頃、大きくなって一緒にセーリングしたり、大人になって親離れ、夫婦だけになったり、ライフスタイルはどんどん変化していきます。おまけに仕事現役の時と引退してからでは、時間の扱いが全く違ってきます。という事はそのライフスタイルの変化に応じて、ヨットの使い方も変わってしかるべき。

若い頃はたいてはクルーとしてヨットに乗り、結婚して、子供できて、そうなってきますと、なかなかクルーとして毎週乗る事もかなわず、それじゃあ、小さいなりに家族3人で乗れるヨットのオーナーになったりして、家族でのクルージングを考えます。やがて子供も大きくなって、親離れをしてきますね。そうなると夫婦二人、外国では、こうなって夫婦で世界を回る人も少なくない。しかし、こういう夫婦はその前の段階から奥さんもヨットに乗っていたに違い無い。

日本の場合は、家族が来るケースが非常に少ないので、旦那が家族以外の仲間をクルーにする事が多い。そのクルーも独身なら良いが、結婚してしまうと、なかなか都合がつかなかったりします。自分が若い時にクルーだった頃と同じですね。

クルージングでは奥さんが一緒に来るなら、それが最も良いのかもしれません。都合もつくし、いろいろあるでしょうが、都合が良い事もある。それができないなら、どうしてもシングルで可能にするという事は考えておいた方が良い。

結局、自分以外、家族であっても、来る義務は無いので、仲間も含めて、入れ替わり立ち代り人の出入りがあります。ある時は家族、ある時は友人、ライフスタイルが変化する度に、いろんな人が出入りする。たくさんの出入りがあっても、いつも誰か来るのなら良いですが、往々にして誰も来ない事も多くなる。という事は、最低限、自分だけでも動かす事ができれば、後はどうなっても、誰が来ても、来なくても、臨機応変に対応できるという事になります。

ライフスタイルは常に変化しますが、その底辺にシングルを可能にしておくと、どうにでもなるという事になります。しかしながら、シングルを可能にするとなると、サイズなんかが限られてくる。小さいサイズしかシングルで無理なら、それじゃあ、家族や仲間が乗りたいと言った時、どう対応するのか?ここんとこが悩む所でもあります。

それではひとつ提案です。シングルやクルーは兎も角、家族の事や仲間の事もとりあえず無視して、自分がどんなヨットライフを過ごしたいか?そこをじっくり考える必要があると思います。見栄もあるでしょうし、いろいろあるでしょうが、本音の部分でどうあったら最も楽しむ事ができるのか?
その結果が、クルーがどうしても必要なら、クルーを捉まえる努力をしなければならないでしょうし、
必要ないという結論なら、シングルで乗れるヨットで良い。家族が来ても、それでもちゃんと遊ぶ事ができる。

日本におけるヨットは、たいては家族単位の家族的遊びというスタイルは非常に少ないので、大抵は旦那が好きで遊び、たまに家族が来るケースが多い。家族みんなで、どんなヨットにしようか、何て考える事は少ないと思います。ならば、ライフスタイルは変化しますが、究極的には自分の本音での自分スタイル、もちろん、これも変わっても良いのですが、これを念頭に常においておいた方が、良いかと思います。

シングルハンドなら、どうでもできる。これは事実ですが、だからと言って、本音のところで、シングルハンドを好まない方、どうしてもでかいヨットに乗りたい方、そういう方々がシングルにこだわってもしょうがない。遊びは理屈ではありませんから、理屈で、こうが良い、ああが効率的とは言っても、楽しくなくちゃ意味がありません。それで、外部環境が変わっても、それとは関係無く、どんなスタイルが好みなのか、その好みに環境を変えていくぐらいのつもりの方が、良いのかもしれません。
完璧には行きませんが、少しづつでも意識を持っていれば、その方向に持っていける。結局は時間とクルーの問題かもしれません。時間のある無し、クルーのある無し。無い無いといい続けてもしょうが無い。どうにかして造らないといけません。まあ、妥協もある程度は必要でしょうけど。

今度は逆に、今の環境を変化させようと思う事から、今の環境でいかに楽しむ事ができるかを考えるという方法もある。結局は何の正解も無いという事になりますね。済みません。

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