第四十八話 デザイン

ヨットの性能的デザインは重要ですが、見た目のデザインも重要であります。性能とは別にそれで気に入ったり、入らなかったりするもんです。場合によっては、性能よりも重視される事があります。これは個人の好き嫌いのレベルですから、理屈も無いし、こっちの方が良いという事も無い。

当社ではアメリカ東海岸の伝統的デザインである、ちょっとクラシックで、それでいてヘビーにならないダウンイーストスタイルと呼ばれるデザインのヨットを取り扱っております。

  左の写真はその典型です。船体前後のオ
  ーバーハング、これで水線長は短くなるも
  ののメリットもあります。しかし、これがかも
  し出す全体の雰囲気は、なかなか良い感
  じ。クラシック的ではあるが、それほどこて
  こてでも無く、水線から下は最新のデザイ
  ンが施されていますので、走りは良い。幅
  もちょっと狭目、こういうデザインには、年
  月の経過による見劣りした感覚がありませ
  ん。何十年経ってもその美しさは変わらな
  い。(写真 M42)



  一方、こちらは、イタリアのトラディショナル
  デザイン。アメリカのダウンイーストスタイル
  とは随分異なります。流線型とでも言います
  か、ラインは柔らかく流れるようであります。
  同じ美しさでも全然違う。そこがデザインの
  面白いところですね。一般的には日本では
  ヨーロッパ系のデザインが好まれるようです。
  (写真 コメット38)




アメリカ人にしても、元はヨーロッパ人ですが、彼らの好みも全然違います。ヨーロッパ内であっても、北欧あたりとイタリアでは違うし、英国なんかも少し保守的なデザインが多い。国民性ですね。
ついでながら、ここでイタリアの弁護を少し。イタリアと言いますと、デザイン大国というイメージですが、働かないイメージ、いい加減なイメージをお持ちの方も多いかと思います。しかしながら、私の知る限りでは彼らは良く働くし、大企業というより職人の世界が多いので、かなりレベルは高い。量産はあまりしないで、職人が良い物を作る。そういう気風があります。謀国より、よっぽど良い物造ると私は思ってます。

それはさておいて、見た目のデザインはこんなに違う。良いデザインは人々を心豊かにしてくれます。そして、美しいデザインは全体のバランスも良いし、性能も良い。無理がない。そういうところを人々は直感的に解るので、美しさを優先したくなる。ヨーロッパ系でもアメリカ系でも、美しいヨットに乗りますと実に気分が良いものです。そんなヨットを自由自在に乗り回す。あこがれます。

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