第五話 ある人の話

何故ヨットをやるのか?あるオーナーはこう言われます。仕事で忙しい毎日を過ごし、暇ができたらのんびりするという方法も良いもんです。しかし、セーリングというのは、集中して乗らなければなりません。集中すると、仕事も忘れ、なにもかも忘れて、すぐにセーリングに集中できます。そこが良いんです。そうできるからこそ、次に仕事にかかる時、スッキリとリフレッシュが出来て、あらたな気持ちで仕事に取り掛かる事ができます。こんな遊びは他にありません。これほど集中を要する遊びは他に無い。そこが良いんです。

気持ちを切り替えるには、ぼ〜とする事では無く、他の何かに集中する事。何かトラブルがあったりしますと、何をしていても、そのトラブルの事ばかり考えてしまいます。でも、いくら考えても解決する方法は見つからない。それで、一旦、別な事に集中する事で、気持ちはリフレッシュする事ができるのだろうと思います。それに、リフレッシュ後の方が良いアイデアも浮かぼうというものです。仕事ができる人は、遊ぶ時は徹底して遊ぶと言われます。その通りでしょうね。

確かに、セーリングしようと思いますと、簡単に他の事を忘れて集中できます。何も仕事の為に遊ぶわけではありませんが、集中できるというのは、それが面白いからでしょうし、遊びが面白くて、それが気分転換にも役立つなら、こんな良い事はありません。

どんなに慣れたにしろ、ヨットは不安定な海の上。船体の底の下は深い海です。そうしたら、多少なりとも緊張感が残るのではないでしょうか?陸の上とは状況が全く違います。その緊張感がベースにある事によって、そして、ちょっとセーリングにその気になる事によって、いとも簡単に集中できるのではないかと思います。

仕事で疲れた時でも、一旦はもっと緊張させて、集中して遊ぶ事によって、その後の高まった緊張感が急速に緩む。その方が疲れが取れるのかもしれません。クールダウンのような感じでしょうか。我々はいつも、何らかの波があればこそ楽しんでいけるのではないかと思います。まさしく、緊張と緩和の波であります。それを自在にコントロールしていけるセーリング、是非、たくさんの人にいろいろ試していただきたいものです。これもデイセーリングだからこそできる事ではないかと思います。集中してセーリングし、終わってみると、セーリング前の感じとは違うと思います。何かさっぱりした感覚を感じます。

デイセーリングは、時間が無いからするわけでは無く、長期休暇が取れない人がするとか、仕方無くするセーリングとは違います。そのセーリングを求めるからこそ面白いわけで、求めれば、いろんな効用がある事に気付きます。全ては集中する事から始まる。微妙さ、大胆さ、繊細さ、スリル、恐怖、それに知性まで刺激される。こんな事して遊んでたら、ボケるなんて考えられません。人間の感じるいろんなフィーリングを強烈に感じて、そこに知性さえもあるなら、生命そのものが息づいています。ちょっとオーバーでしょうか? でも、本当です。生きてる感じの全てが凝縮されていますね。それもこれも集中しているから感じられる事でしょうね。セーリングはこの集中を余儀なくします。誰でも、セーリングしようと思ったら、集中せざるを得ない。だから良いんでしょう。それで集中したら、そんなに何時間も乗れませんね。デイセーリングが最適なのです。

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