第六十一話 引退後

仕事引退後には、新しい生活が始まります。ヨットを本当に楽しむには、時間が必要ですから、引退後が絶好のチャンスであります。しかしながら、つい最近見たTVニュースによりますと、引退後にアルコール依存症になる人が増えているらしい。仕事づけで生きてきた人生、急に、仕事が無くなり、誰からも電話もかかってこない。趣味も無い。そういう時、酒の一杯も飲んでと思うのは人情です。それで、度が過ぎ、一日中飲んでる状態が続く。そういう人が増えているそうです。する仕事が無いというのが問題というより、社会のどこかにに所属する。それが今までは仕事だった。それが失われるのが問題なのでしょう。どこかには所属したくなります。

これでは第二の人生が台無しになりますね。気持ちは解りますが、これでは楽しくない。人によっては、別な仕事を探す方もおられます。何かをしたいが、何をして良いのか?仕事しかした事無い人は仕事する事しか思いつかない。仕事が悪いわけでは。もちろん無いが。趣味を持たない人にとって、急に趣味を持てと言っても無理な事。でも、その中の何人かでも、ヨットに来られると良いのですが?何か方法は無いでしょうか?ヨットをやる。それだけで、ヨット社会の仲間入りです。それは意識の問題かと思います。どこかで社会に繋がっているという意識。それで、ヨット社会に来ませんか?

マスコミは非常に影響力を持ちます。やらせがあったり、客観的報道では無く、もちろん、客観報道など無理なのですが、それにしても、偏向している場合もあります。でも、影響力は大きい。
そこで、最も良い方法は、映画ですね。誰か、映画でも作ってくれませんかね?このご時勢、老人大国となる日本ですから、主役はもちろん、仕事を引退した人。

この人の人生を描き、この人が、あるきっかけによってヨットに興味を持つ。最初は嫌がるのが良いですね。アル中に一旦なって、その後回復してからなんかだとドラマチックかもしれませんね。
最初は周囲が反対しますね、危ないとか、もう年だからとか、言います。でも、やっちゃうんですね。このずぶの素人が、ヨットを始める。暇ですから、来る日来る日もヨットに乗るわけです。最初は全くどうにもできなかった人が、少しづつ、操作を覚えていきます。そして、そこに最大のドラマチックな山場を持ってきますね。でも、この老人が、日本一周とか、だいそれたストーリーになると、また特別な存在になりますから、そうでは無くて、セーリングが生きがいとなり、熟達していく姿が良いです。そこに何とかドラマを造ってほしいものです。ユーモアを交えて。

特別ではないので、見た方々が、自分達の中にも同じ可能性を見出せるような、そんな映画を作ってほしい。アメリカでモーニングライトという、。ディズニー映画があった事は前に書きましたが、これは若者がトランスパックレースに挑戦する話です。これはストーリーは面白いのかもしれませんが、身近では無い。別世界と捉えてしまいますから、そうでは無くて、もっと身近に感じられるような内容が良い。

セーリングをずぶの素人の老人が極めようとして、そこにドラマが生まれ、最後には最高の感動を得るような?或いは、坦々とセーリングに励み、積み重ね、日常の中にも、感動がある。そういうシーンを盛り込んでもらいたいものです。何も、特別な事をしなくても良い。日常における、感動シーンを何とか上手に盛り込んでほしい。そういう映画です。どうでしょう?マニアックになって解りませんかね?

でも、見た人が、ヨットとはどんなものであり、決してみんなが思う程、特別でも無く、趣味のひとつ、スポーツのひとつとして捉え、多少の事が理解されれば良いかと思います。そして決して難しいものでは無く、それでいて、これまで味わった事の無い最高の感動が得られる。そういう内容で、是非、誰か造ってください?感動、涙、笑いを交えて。

この映画は、ヨットのバイブルになります。基本的操作が学べるようになってる。そのうえで、老人の人生がドラマ化される。見た人が元気づけられ、映画館を出る時は、俺にもできると思わせる。
まあ、興行収入はどうか解りませんが。

スウィングガールズという映画をご存知でしょうか?結構流行った映画です。これは女子高生が、ブラスバンドを始める映画です。最高の人生の見つけ方というアメリカ映画もありました。死期を知る老人が、死ぬ前に、いろんな事に挑戦して、人生を楽しもうという映画でした。この二つをうまいことミックスして、是非、この日本の老人社会を、面白くして頂きたいと思う次第です。どうせ、みんな老人になりますから、夢と希望に満ちた引退後の生活。早く引退して、おれも自由になりたいと思うような。無理でしょうかね?

老人になって、今更、若い子にはもてないかもしれない。でも、健康で、そこそこの体力なら、長い間働いてきたのですから、これからの人生をおおいに遊んで良い。若い時が青春というなら、引退したら、第二青春のようなものです。ここで何かしないでどうする。何でも、挑戦してみるべきです。この年になってきますと、それを成功させるかどうかなんてのは、どうでも良くなります。それを本当に味わう事ができます。若者にはそういう風にはできない。うまくなって、もっと味わいたいとは思います。しかし、何者かになろうとは思わない。だからこそ、じっくり味わえるかと思います。

セーリングは味わいそのものです。フィーリング第一。感覚をよみがえらせてくれます。何かがほしいわけじゃない。この感覚のよみがえりこそが、何よりです。

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