第一話 2010年デビュー

今年の夏は、アレリオン33にSタイプがデビューし、また、ハーバーヨットに30フィートモデルが登場します。どちらも、ジブブームとファーリングのセルフタッキングジブはもちろん、低い重心を兼ね備えた、シングルでのハイパフォーマンスを楽しめるヨットです。

特に、アメリカ市場では、デイセーラーコンセプトのヨットの台頭が目覚しい。この不況にあって、新しいモデルの投入、受注状況も増えてきていると聞きます。さすがに、アメリカ市場は大きいと実感します。

クルージング艇の価格競争とキャビン拡大競争も頂点に達し、また、新たな方向に向かいつつあるような気がしますが、一方では、こういうデイセーラーコンセプトが拡充されてきています。また、このデイセーラーコンセプトもふたつに分類され、一方ではレーサーのスピードを目指す艇と、ハイパフォーマンスではあるが、シングルハンドセーリングの操作性を重視している艇があります。ハーバーヨットとアレリオンは、後者に属し、レーサーではありません。しかしながら、各地でワンデザインのフリートレースも続々と生まれてきています。

市場が大きいと、そういう楽しみ方のできますので、羨ましい限りです。日常ではセーリングを楽しみ、同じヨットが数艇集まれば、レースも楽しむ事ができる。同じモデルのヨットですから、ヨーイドンでスタートして、早くゴールした順で順位が決定されますから、非常に解りやすい。レーティングにも無関係。日本でも、こういうレースがもっと盛んになってくれれば良いのですが。

因みにアメリカでのアレリオンのレースは、セルフタッキングジブとメインセールのみ。それがルールです。ジェネカー等は禁止です。これはジブブームがあるからできる事で、これなら、誰でも参加し易い。それにハイパフォーマンスですから、面白いレースが、気軽にできます。

日本では、同じモデルがたくさん入る事が少ないので、なかなかこういうレースを楽しむ事ができません。アメリカでは、純クルージング艇であっても、オーナーズクラブが設立され、情報交換の他に、こういうワンデザインレースもやってます。クルージング艇でも、同じモデルなら、そういう楽しみ方もある。

オーナーズクラブというのは、同じヨットのオーナー同士が設立するクラブですから、互いのヨットの情報交換ができ、こういう事をした、こういう工夫をしたら良い、等々が参考になり、助け合いのクラブとして互いに利用できます。レースするには、遠い場所ですと無理がありますが、情報交換という面では、日本でもこういうオーナーズクラブができると良いですね。いつかはと思っています。
市場の小さな日本ですから、モデル単位では無理でも、デイセーラーに限るとか、ジャンルひとくくりでも良いかもしれません。仲間同士、何か盛り上げる要素がほしいですね。

以前、同じ地域に最低2艇の同じモデルを、と書きました。まずはこれでしょうか?何とか、今年は、それができればと思っています。そうしたら、たった2艇ですが、ひとつの楽しみ方ができます。ここから拡大していけば良い。

ヨットだけあれば良いわけではありません。それを使って、どういう遊び方に発展させる事ができるのか?我々業者に負うところは大きいのかもしれません。デイセーラーは日本ではまだまだマイナーな存在です。でも、きっと将来には、多くの方々が、気軽にセーリングを楽しみ、時折ワンデザインレースを楽しみ、ヨットが身近に感じられるようになる事を願っております。旅も良いけど、セーリングも面白い。

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