第二十一話 もっとセーリングを
| ジェネカーを使って、ダウンウィンドセーリングまでを手に入れたら、今度は、各帆走をもっとレベルアップしていきたいと思います。自然の流れです。動かせれば良いという程度から、もっといかに走らせるかを考えます。 クローズで走る時、ジブシートだけを引いたり出したりしてきたのが、セールカーブを考えます。クリューに結ばれたシートの引く角度を変える事によって、つまりはジェノアトラックの前後移動できるブロックを移動させる事によって、リーチが開いたり、閉じたりするわけですから、それを扱ってみてはどうでしょう。それによってセーリングが変わります。 メインセールも同様で、トラックの左右移動をシート操作だけでは無く、動かしてみる。このトラックのブロック移動は、ジェノアとは違って、リーチを変える事無く、左右にブームが移動できる事になります。 ジェノアのリードブロックを動かせば、セールのリーチは変化し、メインセールトラックの左右移動はリーチを変えずに、移動する。この違いがあります。この理屈を考えて、ブロック移動を、とりあえずどうなるかやてみましょう。そして、いつも言う、良く観察する事が必要です。良く観察して、自分で考える。理屈を考えます。すると、一旦入ってきたら、そういうセーリングが身につく。 メインセールの場合は、ブームバングとの関連と一緒に考える必要があります。バングは、セールのリーチを開いたり閉じたりできる。メイントラックとの関連を考えます。 うまく行くかどうかは、この際ほっといて、取り合えず動かしてみます。そしてどうなるか、セールはどんな風に形を変えるか？それが解れば、どんな時にそうすべきなのか？ 最適なセール形状を目指すわけですが、ヨットの動きとの関連になり、なかなか最適とは行かない。でも、これまでよりも解って、ベターになれば、それで面白さが湧いてきます。そこが重要かと思います。いつもベターを目指して、ベストは非常に難しい。でも、ベストに近づこうとするベターが、面白さになると思います。 ジェノアトラック、メインセールトラック、バング、この三つをとりあえず使っていきましょう。触って、考える。また触って、考える。その間に観察する事をお忘れ無く。 こういう試行錯誤が上達の道、上達が感じられると、それが面白さになる。セーリングの面白さです。同時にセール形状も少しづつ解ってくる。難しい事ですが、挑戦する価値はあります。レースしなくても、こういう面白いセーリングがあるわけですから、それをしないで、経験しないで、味合わないで終えるのは、残念な事です。 お茶するのも良い。デートもファミリーも良い。でも、深い面白さには、セーリングの向上というのが必要なのではないかと思います。それがヨットライフを充実させる秘訣ではないかと思います。それには、セーリングの質を少しづつ、進めていく事が良いのではないかと思います。 上記三つを理解したら、もっと違う事も解ってきます。この際ですから、違う艤装も触ってみます。 バックステーアジャスター、カニンガム、もしあればですが。これもとりあえず触ってみる。引いてみる。緩めてみる。そこから始める。 こんな事をしなくても、セーリングはできる。移動ならできる。思った方向に走る事ができる。でも、そのままでは、それ以上にはならない。セーリングしているつもりが、つい移動になってしまうかもしれません。そこに自分の意図が減少していくからでしょう。でも、各艤装を動かす事によって、自分の意図が表れる。どうしたいのか？そして、動かしたら、どうなるのか？セーリングの質が変わってきます。それが面白さではないかと思います。この際、うまいへたは関係ありません。面白いかどうかです。質を求める事は、その面白さに関わる事、何もレースだからではありません。 誰でも、高い質、腕の向上、そういう事には魅力を感じると思います。それはやる人にしか味わえない世界という事になります。 どうせ、これから先、１０年乗るとしたら、その１０年をどういうヨットライフにしたいかという事になります。１０年後に、どうなっているんでしょう？ほったらかしにしてきたか？年に２，３回しか乗らなかったか？出ても、いつもどこかに寄って飯食ってきたか？面白かったか？セーリングの質を求めたか？何をしてきたのか？その１０年後の結果は、今にかかっている。でも、できない事にあこがれても、今はできません。できる事を、少しづつ。それがあこがれを現実にする。 |