第九十九話 グリーンボート

グリーンというのは、いわゆるエコの事。ヨット自体、セールで走りますから、極めて環境にやさしいエコではあるのですが、それでもディーゼルエンジンを使ってはいますので、それを電気モーターにしようという試みです。

アレリオンを建造するピアソン社も、昨年からその開発を試みています。そして、この度、アレリオン33に電気モーターを設置し、実験を進めています。下の写真がエレクトリック推進システム。
通常のセールドライブエンジンと同じような格好をしています。

 

何といってもその音の静かな事。コクピットでの騒音の計測値は78db。もちろん、これには風の音が入っています。スピードは6−7ノットを常時キープ。モーターのカバーを空けて、計測機を近づけて、72dbとむしろ静か。

ちなみに、図書館で計測しますと30db、通常の会話で60−70db、都市走行中の車の中で80dbだそうです。いかに、静かであるかがわかります。

7.5kwパワー、160ampのリチウムバッテリーが2個、システムは直流電流を交流に変換しているそうです。連続使用時間は4時間+程度は充分。このアレリオンはデイセーラーという事を考慮しますと充分ではないかと言っています。

問題は充電です。陸電でのチャージが、このシステムで2−3時間だそうで、また、セーリング中においては、ギヤシフトを後進に入れておき、セーリング中の水流でプロペラが回転、それでバッテリー充電もするとか。

今後、こういうシステムがもっと開発されていくのは自然の流れ。マリーナを出て、エンジンをカットしますと、何だかほっとした静けさに包まれます。これからは、最初から、ディーゼルエンジンの騒音が無い。そんなヨットが当たり前の時代になるかもしれません。

ちなみに、この電動モーターを設置したアレリオン33ですが、まだ市販されているわけではありません。きっとそのうちアレリオン33E というモデル名で出てくるのではないかと期待しています。

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