第四十二話 ピクニックセーリング

前話で書きました通り、まず第一は気軽なピクニックセーリングを、誰もが簡単に味わえる事。それが全ての方々にとって、最も重要な事ではないかと思います。

今では一般的となりました大きなキャビンを持つヨット、これは旅をして、キャビンに寝泊りする事を想定したデザインです。誰もが気軽に、日常のぴピクニック的セーリングを楽しむには、少々無理があります。何故なら、ボリュームが有り過ぎる。シングルでは難しい。

日常ピクニックセーリングを気軽に楽しむ条件として、シングルハンドが簡単に、誰でもできる事。これによって、いつでも、誰でも誘う事ができます。クルーをあてにしては、こうはいきません。ですから、シングルハンドがお奨めです。ひとりで乗る為という意味ではありません。ただ、その気になるなら本当のシングルセーリングも可能です。でも、ここでは、誰でも誘う事ができるという点が重要かと思います。

次に、帆走性能が高い事。これは長い間、高い帆走性能は、セーリングの深さを知る為と思ってきましたが、これは間違い。気軽なピクニックセーリングだからこそ、高い帆走性能が必要です。誰かを誘って、気楽にシングル操作をし、それでも、そこそこ走る性能、そしてそれを支える高い安定性、さらに滑らかさを感じさせてくれる強固な船体、楽に、グッドフィーリングが得られる事が必要です。そこに楽しさを感じるのです。難しい事しないと楽しく無いのなら、ヨット人口が増えるはすが無い。

こんなセーリングが簡単に出来るのなら、しかも高性能で、強風でも安心して走れるのなら、きっと多くの方々が、ピクニックを楽しまれるでしょう。今まで、エンジンで走っていた人も、短い距離でもセールを上げて楽しみたいと思うでしょう。そういう事が必要だったのではないでしょうか?

これまではレース? そうじゃないならクルージング? と分け、そこに私はセーリングはどうですかと説いてきました。しかし、ここで、そのレース、クルージング、セーリングの前に、皆さん、ピクニックセーリングをしましょうと申し上げたい。そこで、海とヨットを、家族や仲間と、気軽でありながら、高い帆走性能を味わっていただきたい。ここで、楽しむ事ができるからこそ、その先には、レースがあり、クルージングがあり、深いセーリングの追求があります。

考えてみれば、何故仲間や家族が滅多に来ないのか? もちろん、奥さんは興味ないかもしれません。でも、他の原因もあるにせよ、もっと気軽な、それでいて楽しいセーリングが味わえてこなかった。ピクニックセーリングだからこそ、誰もが簡単に操船できる性能が必要であり、そのうえで、面白さの為に、高い帆走性能が必要なのです。

遠い所に旅をする。セーリングをもっと、でも、その前に、気軽な、楽しいピクニックセーリングを
どんどん味わって、海やヨットを楽しみ、馴染み、家族や仲間と分かち合う事が重要なんだろうと思います。それには、デイセーラーが絶対お奨めです。キャビンにあこがれますが、その前に、キャビンを知る前に、海とピクニックセーリングを楽しんだ方が良いと思います。それはキャビンよりも、遥かに楽しいものです。

デイセーラーにもキャビンはあります。でも、コクピットでみんなで過ごしたほうが気持ちが良い。
どんなに広いキャビンより、オープンなコクピットの方が気分は良い。でも、キャビンよりはピクニックセーリングです。最近は、そういう考え方に変わってきました。でも、もちろん、この楽しさを既に知っている方には、セーリングの深さを味わって頂きたい。それにもやっぱりデイセーラーは有効です。兎に角、セーリングをするという意味では、ピクニックだろうが、本格セーリングだろうが、高い帆走性能があった方が良い。もちろん、ここで言う高いはスピードのみではありません。トータルでの高さです。

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