第九十九話 ヨットである理由

結果が同じでも、プロセスが違う。行きたいあの場所へ行くにしても、行く方法はいくつもあります。
電車、飛行機、車、自転車等、歩くという方法もあります。そしてもちろん、ヨットで行くとという方法もある。車で行けば簡単な事、それもかなり計画通りに行く事ができます。しかし、何故、ヨットで行く事を選ぶのか?時間もかかれば、計画通りにというわけにも行かない事が多い。でも、ヨットを選ぶ。

結果は同じであっても、そこに至る手段、プロセスが違います。あの場所へ行きたいけれど、重要な事は、どうやって行ったか? そのプロセスの違いが重要だという事になります。ならば、もっとプロセスを大事にしたい。

セーリングするも、同じスピードが出ているにしても、ただ走っているというだけでは無く、どのように走っているか? セーリングは結果がプロセスでもあります。速いスピードに至るにしても、どのように走らせて、そこに至っているか?

レースにしても、結果は重要ですが、それでも、どのように戦略をたて、他艇に差をつけていったか?そういうプロセスが面白さだろうと思います。

結果は重要な事ではあります。その場所に到着したという結果、速いスピードを達成したという結果、勝ったという結果、これらはみんな重要ですが、でも、そこに至るプロセスも、結果に劣らないくらい重要だと思います。それが、ヨットという手段を選んだという理由でもあります。何故、ヨットなのか? 他の方法では無く、何故、ヨットなのかと考えましたら、そこにヨットを選択した理由があります。ヨットだから良いわけです。ヨットでなければならないわけです。

ならば、もっとプロセスを重視した方が良いのではないか? そのプロセスをどうやって、もっと楽しむ事ができるか?本当はここに重点を置いて、楽しみを見出すという事を考えても良いかと思います。プロセスにこそ、ヨットであるべき面白さあるのではないでしょうか?

本当はみんなそんな事は解っている。でも、実際に運営し始めると、結果ばかりが気になります。
あの場所へクルージングに行くとしても、大抵はエンジンで走っていきます。エンジンで走るにしても、どうやってその旅のプロセスを面白くするか?

ハイスピードセーリングにしても、ただ風が十分だったからでは無く、自分がいろんなセールトリミングをして、舵操作をして、そこがうまく行ったから、そこに至ったわけで、それも走っている最中の状態も重要で、ただスピードという数値がほしいわけでもありません。

良いセーリングを味わうと気持ちが良いです。7ノット、8ノットというスピードを快走しているにしても、この程度のスピードなら、自分の足で走っても達成できます。でも、ヨットだから面白いのであり、そのヨットを操縦して、風に合わせて走らせているから面白いわけです。結果だけを取り上げますと、ヨットである必要も無いし、結果だけが楽しさなら、方法はいくらでもあります。

ついつい結果重視という事になりがちですが、ヨットを選んだ時点で、本当はプロセスが重要なんだという事になります。我々はプロセスを楽しみたいから、ヨットを選んだという事だと思います。ですから、ヨットではあっても、何でもいいわけでもありません。どんなプロセスになるかを想像して、あれこれ選択します。

プロセスが大事だからこそ、ヨットは何でも良いというわけにはならないわけです。大きなヨットで旅をすれば、楽になります。それはプロセスが大事だからです。性能の良いヨットで走ると、同じスピードを走っているとしても、他艇とはフィーリングが異なります。

ヨットを選んだという時点で、しかも、このヨットを選択した時点で、どのようにプロセスを楽しみたいかという事が想像されます。結果だけなら、何でも良いという事になります。どんなヨットでも、クルージングできますし、セーリングできますし、レースだって出れます。でも、みんなそれぞれのプロセスを持っています。そのプロセスの違いこそが、このヨットを選択する理由でもありますね。結果以上にプロセスは大事なんだろうと思います。ヨットの違いは、結果の違いでは無く、プロセスの違いという事になります。

我々は結果ばかりを重視し過ぎているのではないでしょうか?仕事では結果が求められます。だから、しんどい事もあります。それで、遊びを求めます。遊びにまで結果を重視しすぎると、やってる内容は違うでしょうが、ニュアンスとしては仕事に近づいてきて、遊びが遊びではなくなっていくかもしれません。それをプロセスを重視する事によって、遊ぶ事ができるのではないでしょうか?もちろん、遊びでもしんどい事もあります。しかし、それは仕事でのしんどさとはニュアンスが異なるのではないでしょうか?

プロセスを大事にするなら、どういうヨットで、どういう艤装をして、云々が重要な意味を持つという事になると思います。

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