第二十話 もうひとつ

無風では走れない。強風過ぎても苦しいだけ。そんなヨットを出せない時、帰ってしまう選択もあるし、或いは、メインテナンスをしたりもありますが、もうひとつ何かできる事を考えても良いかもしれません。

ある人は、通常はセーリングを楽しまれています。しかし、無風の時は釣りをされる。トローリングですね。それも良い。また、ある人は読書したり。楽器の練習をキャビンでやってる人も居ます。
コクピットに座って、ビールでも。ゆっくり休んで酔いを醒まして帰ります。またある方は音楽に凝ってあり、かなり良いオーディオを設置してあります。こんな出せない時は、おいしいコーヒーをいれて、好きな音楽を大音響で聴けます。意外と、音は外に漏れないものです。

こういう何かをひとつ持てると、バリエーションが増えて良いかと思います。こういう時、マリーナにクラブハウスがあって、リラックスできて、オーナー同士のヨット談義があったりして、マリーナは保管業務だけが仕事では無い。そういう場を設けてあると良いかと思います。

誰でもできる最も簡単なもうひとつは読書です。自宅ではなかなか読む時間が取れない場合、こういう時にゆっくり、読みたかった本を読む事ができる。これはどんなヨットでもできますから。どうやって乗るかとは誰もが考えますが、乗らない時の過ごし方をも考えておくと良いと思います。

小説なんか読みますと、作家の発想力に驚かされる事があります。良くも、まあこんなアイデアが出て来るな〜。その表現力もさることながら、設定の斬新さなんかは感心してしまう事がある。
もし、読んでる間に眠くなったら、そのまま寝ちゃいましょう。

何事も臨機応変、風が無い? そんな事を残念がっても仕方ない。それなら本でも読もう。何でも良いんですが。このもうひとつがあるか、ないかは、本来のヨットを楽しむという点においても違ってくるのではないかと思います。これもヨットライフの一部です。

セーリングを楽しむにはセーリングをします。でも、その前に全体のヨットライフというのがあり、全体としてヨットをどう楽しんでいくか?ある人はそれがクルージングであり、レースであり、セーリングとなるわけですが、それらはメインではありますが、その他にもいろいろ、小さな何かを創っておくのも悪くないと思います。全部をまとめてヨットライフですから。

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