第三十九話 セール
セールはメインとジェノアの組み合わせですが、例えば、ハイパフォーマンスヨットなら、メインとセルフタッキングジブとまでは言いませんが、例えば110%ぐらいの小さなジブでも、そこそこ走る。それに、ジェネカーを組み合わせれば、楽にいろんな風を遊ぶ事ができるのではないか? 上の写真は、ジブは106%です。このヨットにはジブトラックが左右に二本づつあります。今リードされているトラックは小さなジブ用ですが、通常のトラックにリードするより内側に引き込む事ができます。という事は上り角度はもっと良くなります。何しろ、タッキングは随分楽になります。そして、クリューには左右二本づつのシートがリードされ、コースを少し落とした時は、サイドデッキのトラックにリードするシートを使う。ちょっと面倒に見えて、全然そんな事は無い。何しろセールは小さいし、4本のシートを同時に使うわけでも無い。 もちろん、良くある130%でも、150%でも使っていいわけですが、こういう艤装をしておきますと、 ある程度大きなヨットでも、二人ぐらいで楽にセーリングができます。上の写真のジブは、もちろんファーリングを使っています。 こういう艤装をするにはメインセールが大きい方が良いわけで、つまり、マストからバウ先端までの距離Jよりも、ブームの長さEの方が長い方が良い。 反対舷のショット。常識的と言いますか、反射的にと言いますか、誰もが130%前後のファーリングジェノアを使います。しかし、こういう小さなジブという考え方も有りではないでしょうか?もちろん、そのヨットの性格にも寄りますが。 150%のジェノアを使えば、もっと走るのは解っています。しかし、こういう艤装をして遊んでみるというのが良い。二人を想定するなら、こういうのが良い。それでも良く走る。3人居れば、150%でも良いかもしれない。もし、レースにでも出ようというなら。でも、普段、この程度のファーリングジブで遊ぶのも悪く無いな〜と思います。 このヨットは、ジブファーラーのドラムがデッキ下にあります。その分、セールエリアが取れますね。 つまり、ハイスピードボートを、いかに二人程度で楽に快走させられるか?こういうヨットが良いかと思っているんですが。これはデイセーラーにも共通した考え方です。楽に、でも速くがテーマです。 ですから、デイセーラーならシングルOK,こういうヨットならダブルでOK。 つまり、このヨットには、セールが標準装備ではありません。セールはオーナーの考え方に任せるという考え方です。こういう事は面倒でしょうか?私なら、日本向けとするなら、フルバテンメインに、この小さなファーリングジブを標準としたいところです。その上で、オーナーに変更の余地を与えたいと考えますね。 メインシートはステアリングホィール横の左右のウィンチにリードされています。トラベラーはステアリングのすぐ前ですが、シートは一旦マスト側にリードされ、左右舷のウィンチにリードされています。ですから、ステアリングを握って、左舷側か右舷側に座って、その位置でメインシートをコントロールできます。左右どちらからでも操作ができるという事は、風上側でいつも操作ができます。さすがに、ジブシートは風下になりますが。でも、クルーが一人居ますから、何でも無いでしょう。 実は、メインシートの位置は、ステアリングを持ったままできるのは良いんですが、もし、クルーに任せるとなると、その位置からして、ちょっとですが、やりにくさがあるかもしれませんね。でも、ショートハンドのセーリングという意味では良いと思います。 |