第八十三話 ヨーロッパ

今年からスウェーデンのアルコナを日本に販売する事になりましたが、これまでに、何度も情報交換等をしてきました。そこで気が付いた事がひとつ。

ヨットが盛んなヨーロッパ、確かにヨットを別荘代わりとして扱う人も居れば、レースに夢中になる人も居て、また本格的なロングのクルージングに出る人達も居る。そしてやっぱりセーリングそのものを楽しむ人達も多く、セーリングを中心に、クルージングしたり、パーティーしたり、寝泊りしたり。

つまり、いろんな人が、いろんな事してヨットを楽しむわけですが、その中で何を中心に据えるか?
それだけの事。アルコナ社はセーリングを中心にして、人によってはレースも楽しむ性能もあるし、クルージングを楽しむ性能もある。そこが気に入ったわけですが、ヨーロッパでも、セーリングを楽しむ人達は多いという事です。

例えば、マリーナから出て、どこかに行く時、ただ動けば良いというセーリングもあれば、セーリングそのものを楽しみながら行くというセーリングもあります。前者では、あまり性能は気にならないかもしれませんが、後者であれば、いろんなセールフィーリングを楽しみながら走りますから、性能が気になります。速いというスピードのみならず、舵の感覚や、セールトリミングから来る感覚等を楽しみながら行くわけです。もちろん、操作性も楽しみます。目的地に着いたら、やる事は同じですが、そこまでのプロセスが違う。

そういうプロセスを、イージーハンドリングで楽しもうという事です。どうせそこまで行くのなら、その過程において、どんなセーリングができるか? 行けば良い、走れば良いというわけでは無い。

セーリングと言いますと、セーリングしかしないわけでは無く、行為を単なる移動に終わらせないで、いかに楽しむか。そのヨットの性能を楽しむとも言えます。そういう人達もヨーロッパには多いという事です。

何も、全神経をセーリングにのみ集中するだけがセーリングでは無く、移動では無く、セーリングそのものを楽しむという、注意が目的地では無く、セーリングにある時、ゆったり感も楽しむ事もあるし、雰囲気を楽しむ事もある。そういう時でさえ、セーリング性能を楽しんでいます。

夫婦で、ワイン1本持って夕方から出るとか、孫を連れて出るとか、とにかく、セーリングそのものを味わう人達も多い。それには、ショートハンドが良いし、できればシングルが良い。そうなれば、デイセーラーがピッタリだが、時に家族でロングに出る事もあるし、寝泊りもする。そういう意味ではキャビンがほしい。

ヨーロッパでも、動か無いヨットが多い。そんな中、動くヨットはセーリングを楽しむ人達のようです。
時に、仲間とレースを楽しむ事もあるし、家族とのクルージングもあるし、そして真剣なセーリングも楽しめる。いろんな事情があるヨーロッパ、アルコナは、なかでもそんな人達をターゲットにしているようです。

やはり、日本と同じですね。ただ違うのは、日本人は寝泊りをしない事。する人が非常に少ない事。動かないヨットは同じだけれど、ヨーロッパは寝泊りをするのは普通の事。ここが大きく違う。
そんな状況を見つつ、一方ではセーリングを楽しもうという人達が増えてきている。

だから、高い帆走性能、イージーハンドリングという事を造船所は考える。その結果がアルコナヨットだそうです。どこに面白さを得るか? ヨットはやっぱりセーリングにある。寝泊りを中心にした人達に比べればまだ少ない。でも、増えてきている。昔はみんなセーリングが一番だった。それがいつの間にか変わってきた。そして、もう一度、そこを見直す人達が居る。

レース一辺倒にする気は無い。クルージング一辺倒でも無い。だからと言って、そこに毎週寝泊りする気も無い。セーリングそのものをもう一度見直して、遊んでみよう。日本でも同じ事が言えそうです。

次へ        目次へ