第十話 日本では趣味の世界

趣味の世界は、だいたい外から見るとマニアック。ヨットの姿形もさる事ながら、舵の微妙な感じ、走りの変化に悦に入る。外から見たら、みんな一緒にしか見えません。それにこだわるから趣味の世界になり、家族には違いが解らない。

家族が解るのは、姿形とキャビンという事になります。そこに合わせるなら、是非、何とかしてファミリークルージングを発展させて頂きたいと思います。そうしたら、もっと楽しめるのではないかと思います。

当社がお勧めするのは、ファミリークルージングでは無く、デイセーリング。2時間程度のセーリングなら、たまに家族が来る可能性も高くなる。ならば、ファミリーセーリングになります。でも、実際は、これも少ない。よって、ヨットは男の趣味の世界になります。それが主体になります。

だから、セーリングにこだわります。趣味だから。レジャーなら、こだわりません。でも、レジャーなら、家族が来ないといけません。何だかもどかしい。

家族が来るか来ないか、そんな事は簡単にどうこうできる事ではありませんが、現実のところは、趣味の世界になっています。それなら、趣味として、我儘に遊んでしまおう。たまにしか来ない、滅多に来ない家族の事を考えてヨットを選ぶ必要は無いし、どんなヨットでも、家族ぐらいは乗せられる。

それより、自分のこだわりを前面に考えても良いのではないか?どうせ、家族は解らない。だから、デイセーラーやパフォーマンスクルーザーを薦めています。別に家族を軽視しているわけでは無く、家族が来ても、対応は充分できるからです。

ヨットで家族と一緒に寝泊りしないなら、デイセーラーは最高の趣味として応える事ができます。また、パフォーマンスクルーザーは、セーリングにもクルージングにも、寝泊りにも対応している。趣味として遊べて、家族もウェルカムであります。そういう風に考えているのですが?

子供が小さい時、奥さんが若い時、欧米人は小さなヨットで遊びます。経済的理由もあります。子供が小さい時からヨットに慣れてしまいます。アメリカのハーバーヨットの20フィートが売れるのはそこにもある。日本では、このサイズは見向きもされない。子供が大きくなって、急にヨットに来いなんてのは、無理がありますね。

それで、欧米では、家族の成長とともに、ヨットも変わる。ヨットというレジャーが根付いているという事だと思います。子供が大きくなれば、ヨットも大きくなって、子供が独立していけば、再び、夫婦だけのサイズダウン。これが欧米のレジャー的ヨットの遊び方。

欧米でも、趣味になると違います。レーサーだったり、ウッドのクラシックだったり、まあいろいろです。日本の現実は趣味の世界だと思いますね。欧米でも、趣味だけなら、こんなに多くは無いのではないかと想像します。大半はレジャーなのです。だから、そこを狙って、量産ビルダーは建造します。何しろ、最もでかいマーケットですから。チャーターヨットの次かな?

それで、趣味とする人は、少量生産のビルダーのヨットを買う。だから、そういう小規模の造船所も生き残れる。趣味とする人は、全体からしたら少ないので、造船所も小規模にならざるを得ないか、趣味とする人は要求が高いから、小規模じゃないと応えられない。

まあ、日本は、趣味の世界としてヨットがある。将来は知りません。でも、今はそうでしょう。ならば、ファミリーと混同しないで考えれば、もっと遊ぶ事ができるのではないか?自分のフィーリングに合わせられれるのではないか? でも、無意識に考えてしまいます。家族と遊ばない、家族思いのおとうさん? それなら、ヨットは趣味に走って、ヨット以外のところで、家族と遊ぶのも悪く無いと思うのですが。そう割り切れたら、ヨットはもっと面白くなるかも?

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