第十六話 デザイン

デザインには、性能をいかに発揮するかというデザインもありますし、見た目のデザインもあり、また、人間がキャビンで過ごす為の快適空間のデザインもあります。

プロのデザイナーは、プロですから、あるひとつに限定してデザインするなら、その目的においては、かなりレベルの高いデザインができるのだろうと思います。しかしながら、こういうケースは稀で、
例えば、性能一辺倒というわけにはいきません。

あくまで人間が乗るヨットですから、それをどう扱うか? 何かを優先はするのでしょうが、その割合をどうするか? また、価格面も重要な要素になります。ですから、いろいろなヨットが出てきて
面白いのかもしれません。

レーサーにしても、兎に角速いという事でも無く、レーティングという悩ましい問題があります。いくら速くても、レーティング上不利になる時、結果、勝てないという事があります。その逆もあり、レーティング上有利なら、スピードを抑える事もある。こんなわけ解らんルールがありますから、素人はなおさら解らない。最初にゴールしたヨットが優勝しないなんてのは、どうなってのんの?という具合。

それでかどうかは知りませんが、海外では、ワンデザインのレースも盛んです。同じヨットでみんなが競えば、一番先にゴールしたヨットが優勝です。最も解りやすいルールです。そういうルールなら、どんなヨットであろうがレースが成立します。クルージング艇でも成立します。

日本では、残念ながら、ワンデザインレースが定着したのは、J24ぐらいでしょうか?海外には、いろんな種類のワンデザインレースが成立しています。昨今では、比較的小型艇の、ワンデザインレース目的でデザインされるヨットがたくさん排出されています。市場の大きさの違い? 

レースで無くても、キャビン空間とセーリング性能、見た目のデザインの美しさ等々、デザインには、複雑な要素がからみ、どこで妥協するか?デザイナーの腕にかかっています。

アレリオン33Sは速いヨットです。でも、速さだけを求めるなら、前後に大きなオーバーハングは無くした方が水線長が長くなって、もっと速いという事になるのでしょうが、それでは、アレリオンの見た目のデザインが変わってしまう。あくまでレーサーでは無く、快走クルージング艇なのです。

快走を求めて、性能を上げて、でも、クルーがたくさん必要とか、そうなると、また違う考え方をしなければなりません。基本は、シングルハンド。これははずせない。ちょっとクラシックなデザイン。これも外せない。その上での快走をいかに目指すか?それがアレリオンの在り方です。

どんなヨットにも、これは外せないというポイントがあると思います。それが基本コンセプトになります。そのヨットの最重要ポイントはキャビンなのか、セーリングなのか、操作性なのか?デザイナーの意図はどこにあるのか?そんな見方をしても面白いかもしれません。みんな割合で決まってくる事になります。それも他のヨットとの比較です。つまりは相対性という事になります。

いろんな要素がブレンドされたのがヨットです。その最も割合いの高いのは何か?

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