第二十五話 構造

最近のヨットの構造は昔とは違います。ハルがあって、デッキがあって、その他にキャビンの床と天井もモールドを使って、FRPで造ります。その上に木材を貼ってある。つまりは二重になっています。モールド成型すれば、モールドで積層し、取り出した途端に天井も床も出来てます。

もし、これを使わないとしたら、ハルとデッキを造った後で、天井と床を造らなければなりません。この手間の違いは非常に大きい。コストもかかる。では、何故そうするのか?

  床板をはぐれば、船底が見えます。その
  床板を支える真横に走る骨組みが見える。
  それらは、一本一本船底に積層されていま
  す。










   
  こうやって、バルクヘッドも船底に積層され
  ます。モールドを使って、床を成型して、
  FRPで作れば一発で作れる。
  なのに、何故そうしないのか?







天井だって、数枚に分かれて、全部ビスを取れば、天井をはがす事ができる構造になっています。
これもFRPで一発で作れるのにです。

これにはふたつの理由があると思います。ひとつは、ハルやデッキに接触する構造物を積層する事によって、船体全体の強度を造るという事。もうひとつは、いくら優れた高品質ヨットであろうとも、これから何十年と使うにあたっては、不具合がでるのは当然。その時のメインテナンスの為かと思います。

手間をかけるには意味があります。手間をかければコストが増える。しかし、そのヨットがこの先何十年と使われるのであれば、そういう事が、今は必要性が無くても、将来は必ず必要になる。

御存知の通り、中古ヨットは30年経っても、まだまだ使える事が解ってきました。恐らく、欧米の例を見れば、50年は使えそうだ。その先はまだ解りません。そして、それは構造に寄るし、その構造は耐久性のみならず、乗り心地にも関係してきます。

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