第五十三話 小さなジブ

数か月前ですが、35フィートのレーサークルーザーが進水しました。残念ながら当社扱いではありませんが。デッキを見ますと、サイドステーのチェーンプレートがデッキいっぱいに張り出しています。つまりは、大きなジェノアは設定せずに、小さなジブのノンオーバラップ。マストは高く、ブームも長く、メインセールは大きい。

レースを楽しむも、クルー不足はずっと言われてきました。できるだけ容易にコントロールが出来て、そのうえでできるだけ速く。そういう具合で、ランニングバックステーは避けられてきましたし、今度は、小さなジブという方向に向かっているような。その代わり、マストを高くしてメインを大きく。
それに、マスト位置も前側へ。それで、JよりEが長くなります。

クルージング艇はメインセールが小さい。長いブームがコクピットに来ますと邪魔。 それに、メインシートがキャビンの天井にあるので、もっと大きな力を要します。それに、大きなセールで、長いブームだと、ブームの後部からメインシートを引かないと、へたするとブームを破損しかねない。だから、メインは小さ目で? その代わり、必然的にジェノアを大きくしないと、ある程度までは。

クルージング艇も小さなジブにした方が取扱いはし易いのでしょうが、ただ小さくしただけでは、セールエリアがかなり減じられます。どうにかして、メインセールを大きくできれば、その分ジブを小さくできるのでしょうが。 マスト位置を少し前側に移動して、少し高くしてとか? でも、そうすると、やっぱり、メインシートを引く位置をブームエンド側にした方が良いでしょうし、それがコクピットの邪魔になるかも?なかなか難しい問題です。

外洋艇なら、トップリグで、ジェノアでも良い。タックなんてそんなにしょっちゅうはやらないだろうし。でも、沿岸用なら、どこかに行く目的以外は、デイセーリングもするでしょうから、それなら、やっぱり小さなジブ? メインセールを大きくしても、電動ウィンチとかファーラーとかにする方法はある。でも、やっぱりメインシート位置をブームエンドで引くと、邪魔でしょうか?

機走一番、セーリングは二の次と言うなら、現状のジェノアをジブに変えても良いかもしれませんが? でも、それでは面白味が減じられる。それでも良いというなら、ボートでも?ここはプロデザイナーに妙案を出して頂きたいものです。

へたすると、クルージング艇より、こういう小さなジブを持つレーサークルーザーの方が、セーリングに関しては操船し易かったりして? それに速いし。

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