第九十七話 アルコナ 410 デビュー 

スウェーデンの造船所、アルコナヨット社は1968年に設立され、現在は創始者の息子が二代目を継いでいます。トラディショナルなデザインを基軸とし、デザインは一貫してStefan Qviberg というデザイナーが全てのラインを引いています。 昨年は一年間に60艇を建造、2008年の建造艇数の50%アップ、あくまで少量生産を維持し、拡大を優先しない。経営者曰く、年間、100艇程度を建造する能力はあるが、それを望んでは居ない。15艇ぐらいでも問題はないとも言っています。
兎に角、プロダクション建造ではあるが、高い品質をキープしたい。オーナー造船所だから言える
事かもしれません。

基本コンセプトはハイパフォーマンスのクルージング、そのハイパフォーマンスを容易な操作で行える事。その為に、強固な船体、バランスの良さ、軽いタッチの舵操作、そして、あくまでトラディショナルなデザインを維持。

  2011年、アルコナ410をデビュー
  させました。初めてのツウィンラット
  仕様です。

  メインセールを大きくして、ファーリン
  グジブは107%を基軸として、それで
  ハイパフォーマンスを実現しています。

  

  
  
  マホガニーインテリア
  よく作り込まれています。



その他のモデルでは、34フィートから46フィートまで、今回の410を含めて6艇種を建造していますが、あくまで、少量生産による、高品質なヨットを目指しています。

  全モデルに共通するのが、写真の補強材。これに最も
  ストレスがかかるリギンやキールが繋がれています。
  また、工法もバキュームを使い、さらに樹脂量をコントロー
  ル、強固な船体造りに高い評価を得ています。






北欧の造船所は、フランスやイタリアに比べて、比較的、保守的なデザインを好むようです。このアルコナ社も同様で、デザインとしてはオーソドックスと言えると思います。しかし、それが、いかにもヨットらしい雰囲気を与え、安心感が沸いてきます。モダンで、強烈な印象とは違い、落ち着いた大人の雰囲気かと思います。それが、何十年経っても、全く色褪せない美しさを保つ所以かもしれません。

ヨーロッパで、この不況にも拘わらず、確実に実績を伸ばし続ける造船所、それは多分に、この品質と、明確なコンセプトによるものかと思います。クルージングでありながら、高い帆走性能を持し、それでいてハンドリングのしやすさ。このコンセプトこそが、日本にも合うと思うのですが?

実は、ちょっとしたエピソードがあります。このコンセプトを気に入って、日本代理店の話を持ち込みました。今年の事ですが、最初の造船所の話は、代理店をどんどん増やしたくは無い、年に1箇所ぐらいで十分だとの話でした。急速に拡大するのは避けたいという事でした。それで、日本マーケットは小さいのでその心配は無い, たくさんは売れません・・・・・等々、いろんなやりとりがありまして、最終的に取り扱う事になりました。正直申しまして、一般量産艇より価格は高いです。 でも、その価値は十分にあると思います。造船所も当社も、長い目で見ています。

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