第五十八話 HAPPY

矢沢永吉さんというロック歌手が居ますが、還暦をすぎてもパワフルな歌手です。彼の話によりますと、欲しいものは全て20代で手にいれた。そうしたらHAPPYになれると思ったが、ちっともHAPPYじゃ無かった。そんな話を聞いた事があります。

我々も、あれこそ欲しくなります。手に入れれば、HAPPYになると思うからです。しかし、一時的にはHAPPYになれるが、すぐにそのHAPPYも薄れていきます。という事は、HAPPYを持続させる為には、連続した何かでなければならないし、それは物というより、行動という事になるのではないでしょうか?

立派なヨットを手に入れて一時的にHAPPYになっても、それを持続するのは、行動しかない。しかも、全く同じ種類のHAPPYは無く、常に違うHAPPYです。しかし、行動すれば、良い事ばかりでは無いし、嫌な事も起こる。

所詮、我々のHAPPYなんてそんなもので、それなら、HAPPYの定義を変えて、いろいろ起こる事をゲーム感覚で遊んでしまうという事にしたらどうでしょうか?いろいろ起こる出来事を、その都度、どう対応するか?それをゲームだと思える程、HAPPY度が高くなる。HAPPYになるにはそれしか方法は無いのではないか?

ゲーム感覚になれるとしたら、それはもはやしんどいとか言う感覚も持たない事になります。それに挑戦するエネルギーも沸いてくる。それを克服したら達成感も出てくる。それの繰り返しをすれば、いつもHAPPYになれる。

つまり、楽ばかりを求めますと、HAPPYは一時的であり、すぐに退屈感が出てきたりしますが、いつも何かに挑戦するゲームだと思えれば思える程に、それがHAPPYなんだという事になります。

ですから、高級艇を手に入れても、人はHAPPYにはなれない。それをいかに使いこなすにかかっている。使いこなすにあたっては、いろんな事に遭遇し、それこそがHAPPYの源であるという理屈になります。ただ、そう思えるかどうかが問題ですが?

でも、少なくとも、ヨットは動かす事から始まって、いろんな挑戦がそこにありますから、HAPPY満載です。後は、自分の気持ち次第という事になりますか。楽をしようと思った途端に、UNHAPPYへの道へまっしぐら。HAPPYになりたかったら、常に挑戦あるのみという事になりますね。人間は実に面倒くさい生き物であります。

一回乗って、経験して、それがどんなセーリングであっても、それを続ける事にこそ、HAPPYがある。そうならば、多くのヨットオーナー達はあまりHAPPYとは言えませんね。少なくとも、ヨットに関しては。よそでHAPPYを得ておられるかもしれませんが?でも、少なくとも、ヨットオーナーであるならば、ヨットでHAPPYを得て頂きたいと思います。

誰もがHAPPYになりたいと思って、ヨットを手に入れる。でも、HAPPYでは無かった。かといって、いきなりロングに出るのがHAPPYだと思うと、これもまた無理があります。ロングに出たら出たで、いろいろある。帰ってきたらHAPPYになるかと思えば、達成感は確かにあるが、永遠には続かない。よって、挑戦するしかHAPPYになる方法は無い。挑戦して、それを楽しみ、達成しては達成感を楽しみ、また挑戦を続けるしか方法は無い。HAPPYとはそんなもの?

だから、いろいろ考えます。ああしようか、こうしようか? 工夫を凝らす。実践する。発見する。時にしんどい目に会う。でも、また、ああしようか、こうしようか? でも、それこそがHAPPYなんでしょうね。そう思えるようにしたいと思います。

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