第六話 気軽さを持って

目の前の海域を、さっと走るに、そんなに準備は要りません。ですから、思いついた時に、さっと乗れて走る事ができます。また、誰かが乗りたい、誰かを誘いたい、そういう時でも、その方が全くの未経験でも、全く躊躇する必要がありません。そういう気軽さが、デイセーラーの良さでもあります。

欧米では、もはや、キャビンが狭いから、どうしようか、割り切れないという事では無くなってきています。セーリングをどう楽しむかが重要なポイントです。キャビンは無いのは困るが、それ程問題では無い。それより、セーリングなのであります。つまり、キャビンが問題なのでは無く、セーリングをどうとらえるかが重要な問題です。

それで、セーリングを重視して、尚且つ、多少キャビン使用を考えるなら、でかいサイズのデイセーラーという事にはなるかもしれません。しかし、そのでかいデイセーラーにしても、確かにその分キャビンは広くはなりますが、そこが重要なのでは無く、セーリングが重要なのです。やっぱり、日常の気軽さが重要なのです。

 

44フィートのデイセーラーです。前後に大きなオーバーハングを設けています。ですから、必然的にキャビンは狭くなります。実は、44フィートもあるのに、バウキャビンしかありません。そこにあるのは、ダブルバースとちょっとしたシート、それにトイレぐらいです。

   メインサロンはコクピットという考え方で
   す。それで、コクピットには、フォールデ
   ィングのテーブルがあり、そこに冷蔵庫
   と清水が来ています。ここがメインサロン
   であります。なる程。そういう考え方か。
   ちょっと新鮮でした。
   それで、雨が降ったらどうするんだ? 
   ドジャーとビミニとか対応はあります。
   しかし、雨が降ったら、無理にそこで飯食
   わなくても、レストランに行けば良い。
   そんな考え方もあるわけです。このヨットに、無理にメインサロンを作ったら、美しくなくなります。どんな時にでも対応できるようにしようと思うのが頭脳かもしれません。しかし、もっと気軽に考えれば、対応の仕方はひとつじゃない。遊びなんですから。

このヨット、電動で全部動きます。ですから、シングルでも楽勝なのであります。44フィートありながら、排水量は5t しかありません。もちろん、キールはモダンデザインです。クラシックな美しさで、最新の帆走を楽しめる。

このように、デイセーラーは気軽さを持って、美しいヨットを自由自在に操船できる。そこがデイセーラーの重要なポイントです。

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