第十七話 ダブルハンドの作法

オーナーとクルーというより、パートナーと言った方が良いかもしれませんね。オーナーと同じ方向を向いていて、一緒に学ぶという感じでしょうか? しかし、それがなかなか難しい。グッドパートナーを見つける事ができたら、もう半分は成功したみたいなもんです。

かつて、個人的にダブルハンドで結構やってた事があります。二人居れば、大抵のヨットはどうにかなるでしょう。最初はぎこちない感じがあっても、そのうちタイミングが分かってきます。舵を切るタイミングとセール操作のタイミング、最初はどっちかが早すぎたり、遅すぎたり、でも、そのうちピッタリ来る。それがちょっと気持ち良いですね。

シングルはひとりで全部面倒見ていたわけですが、二人になりますと分担できますから、自分の担当により集中する事ができます。分担はそのヨットの艤装の配置による処もあります。互のコミュニケーションを取り、このふたりのコンビネーションがうまく作用する時、シングルでは味わえない調和的な感じを味わう事ができます。

その為には、何度も、何度も、一緒に乗る事が必要になります。そうやって、二人が一緒に成長していく処に面白さがありますね。二人でヨット談義もできますし。舵を交代して、それぞれの走らせかたを実践しても良いかと思います。

人数が増えれば、増える程に、できる事はもっと多くなりますが、今度は、逆に増えれば増える程に、調整が難しくなるという事もあります。ヨットに行って見ないと、何人来るか解らないとか?それに、価値観を共有する事も難しくなる。

それで、シングル、ダブル、せいぜい三人までを基本的なセーリングとして捉える方が良いかなと思います。もちろん、レースを主体にされる方々は、多くのクルーを確保されており、しかも、レースという価値観が共通しているので良いかとは思いますが、でも、なかなか、確保するというのは大変な様です。

それで、シングルの作法、ダブルの作法を考えて、そこらあたりを基本に、いつでも出せる状態を確保する。可能性を高める。そこに予期せぬ人が加わっても、加わらなくても、何とでもなるという作法を持つと良いんじゃないでしょうか?

最近ですが、デイセーラーのオーナーで、シングルの時はメインとジブブーム付きジブで走り、誰かが来る時はジェネカーを上げるという方もおられますし、常にシングルを想定して、風がある程度以上あれば、ジブとメイン、風が弱ければ、ジブに代えて、ファーリングジェネカーという方もおられます。つまり、微風から強風まで、上りから下りまで、どういう具合に使うかを想定しておく。そういう事かと思います。

ダブルハンドでは、通常のジェネカーを上げるという事ができるようになりますが、シングルでは難しくなります。ですから、いろんな想定を考えて置くのは、良い事ではないでしょうか?もちろん、人数や艤装だけでは無く、ヨットのサイズも含めてですね。それもセーリングを探求する時、ピクニックをする時とかの違いもあります。それも、最低限の人数での想定があれば、後は、どうにでもなります。そういう意味では、シングルかダブルかぐらいかな? それ以上になりますと、集めるのが難しくなるような気がします。もちろん、固定メンバーでなければなりませんから。

ダブルハンドの良さは、仕事の分担ができるというより、両者のタイミングを合わせる事だと思います。コンビネーションを楽しむのがダブルハンドの作法かな?こればかりはシングルでは味わえない面白さです。

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