第三十話 農耕民族と狩猟民族

欧米人は狩猟民族。ハンターです。ハンターはあっちこっち出かけて言って獲物を探します。ですから、常に移動する事になります。これに対して、我々は農耕民族と言われ、定住型です。農耕民族の獲物は、探すというより育ててから獲得する処にあります。

それが社会システムにも表れて、終身雇用制とか年功序列とかが生まれたのではないかと思います。このシステムが昔はジャパンアズナンバーワンとか言われて、もてはやされましたが、その後、このシステムは崩壊し、自由競争、自己責任へと変貌していきます。果たして、このシステムが日本人に合っているのか? どうも、この辺りから、日本人は不幸になって行っているような気がします。

日本はガラパゴス的発展を遂げてきたとも言われます。実に日本的な独特な資本主義であります。自由競争を是とはしますが、それには一定のルールがある。そのルールは文化的、慣習的で、欧米人には理解できないかもしれません。

でも、考えてみますと、ヨットレースにもルールはある。ルール無くしては自由も無茶苦茶になりかねません。そしてやがてはレース自体が成立しなくなります。

ルールであまりにも縛ると、発展が阻害されます。でも、自由の行き過ぎは、そのものを破壊しかねない。丁度、頃合の良いバランスが必要になります。極端は避け、中庸という事になります。

ヨットは欧米から来た文化です。でも、日本人にも昔から海洋文化はありました。ヨット文化とは違いますが海の文化はあったわけです。そこに西洋のヨット文化が入ってきて、そのヨット文化をどう料理しようかと模索中です。

狩猟民族は既にある物を獲得します。農耕民族は育ててから獲得します。という事は、日本人は長期的視野で、育てるのが得意。では何を育てるか?最初の種さえ、きっちりと見つけられれば、どんどん育てます。それが得意なのであります。

ではその種とは何か?楽しくて、面白くて、エキサイティングで、落ち着けて、癒されて、いろいろ?
日本人にとって面白いヨットとは何か?多分ですが、想像ですが、狩猟民族は、上手くなって、その結果を獲得したいと思うのではなかろうか。だから、早くうまくなりたいと思うかもしれません。農耕民族ももちろん早くうまくなりたいとは思う、しかし、それとは別に、上手くなっていく過程を、これは育てる過程でありますが、それが面白いと感じるのではなかろうか?
ちょっとこじつけ感があります?

それは兎も角、日本人の種さえ見つけられれば、日本のヨット文化もガラパゴス的進化を遂げられるかもしれません。それが日本人にとって、最も楽しめる方法であります。それは決して欧米人と同じでは無いだろうと思います。その種はひょっとしたらデイセーリングではなかろうか?

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