第七十一話 正しい意見

世の中のさも正しそうな意見に惑わされ、あれもこれも正しく思える。ちゃんとした理屈もある。
だからややこしいのですが、でも、良く考えると、それぞれ、みんな正しい。間違った意見ならことは簡単なのですが、正しいからこそ厄介であります。それで、さらに良く良く考えますと、それぞれの意見は正しくとも、それぞれの立ち位置が違う事に気付きます。

もっともらしく聞こえる事も、どういう立場に立っての意見なのか?そこの方が問題ではないかと思います。これは案外見落としてしまうかもしれません。立場が違って、それぞれの意見は正しいとなると、別の立場から意見を言っても噛み合わない。世の中にはたくさんの意見がありますが、結局はみんなそれぞれの立場が違うだけかもしれません。

そうなると、重要な事は、自分がどういう立場を取るかという事かと思います。それが明確にならないと、どれもが正しく、どれもが間違っている事になると思います。

日本のヨット文化が遅れていると言っても、それなりの深さは得てきました。もはや、レースですか、クルージングですか、と単純なものでは無くなってきました。ヨット文化が浸透すればする程に、いろんなバリエーションが増えてきて、それぞれに使い方が枝分かれしていきます。

従来のレースかクルージングか、という二つの分野に、セーリングという当たり前のジャンルを強調してきました。さらに、特別なジャンル名は無くても、各分野においても、実際は使い方に違いが生まれてきます。そこをもっと見た方が、より良いヨットライフになるかと思います。

その中で、最優先課題にスポットを当てて、そこを中心に考える。あれもこれもという時代は、どちらかと言うと、まだ浸透度が浅い時に起こり、浸透すればする程に、濃縮されていきます。極端になりますと、ピンポイントで、ある一点になるかもしれません。そこまでは行かないにしても、優先度の高い項目に照準を合わせた方が良いかと思います。そういう事を考えても良い時期に入ってきているのではないかと思います。

レースと言っても、どういうレースなのか、クルージングもしかり、セーリングも同様です。もっと具体的に考えて、そこを最高に楽しめるようにした方が良いかもしれません。もちろん、日常的に高い頻度で使える方法が重要かと思っています。

私の立場はセーリングですから、どんなセーリングを望むか、微風から強風まで、どんなセーリングを味わいたいのか? そこからの意見という事になります。微風ならどうする、強風ならどうする、それらを踏まえたヨットという事になります。もちろん、見た目の美しさも重視しています。それ以外は重要度が低くなります。

それをレーサーの立場から見れば違う意見になり、クルージングの立場から見れば、また違う意見になります。でも、何を優先するかが重要だと思います。

専門家の意見にしても、どういう立場なのか?という事は考えた方が良いかもしれません。

次へ       目次へ