第12話 船を選ぶ

さあ、心構えができたところで、船を選びます。多くの方々が皆が持っている同じヨットを
選ばれます。そこそこで良いと言われますし、安くて見かけの良いのを選ばれます。
ここで申し上げたいのは、予算の許す限り、品質の良いヨットを選択されることをお奨め
します。無理はいけませんが、かといって、予算があるにもかかわらず、遠慮して、謙虚
にか、安いのにされる方々が多い。でも、私はあえて、無理はいけませんが、できるだけ
品質の高いヨットをお奨めします。

そこそこで充分と言えば、どのヨットでも充分です。走れないヨットはありません。そのヨット
しか知らなければ、それが全てです。でも、世界には実にバラエティーに富んだ選択肢が
用意されています。何だって、知らなければ、それで済むのです。ヨットを知らなければ、
乗るなんてことも考えない。でも、ヨットを知ってしまった。それは幸運です。良いヨットを知
れば、それは幸運なのです。

良いヨットは艇体が頑丈にできてます。ですから、長持ちします。技術力の高い職人が造り
ますから、丁寧な仕事をします。材料も、取りつけてある製品も比例して、高品質の物が使
われます。設置の仕方、配管、配線の仕方処理、内装の材料から工法までも手間のかかる
仕事をしています。それで、何が出てくるかは、安全、高寿命、時化に強い、頑丈、壊れにく
い、姿が美しい、そして何より時化た時により楽なのです。それでも、完璧ではありません。
相対的にです。もちろん、知らなければ、自分のヨットが全てですから、こんなものと思う。
そして、いつか他の艇に乗った時、こんなに違うのかと思う事があります。上を見ればキリが
無い。お金に糸目を付けなくても、完璧にはならない。ですから、自分の予算範囲で良いヨット
をお奨めしています。高いヨットは再販時にも高く売れます。それに、ヨットは何十年でも乗れる
のです。

最近、ようやく30年近く古くなったヨットがほんの少し出てきました。30年前のヨットはかなり頑
丈に出来ており、再生が可能です。当時は輸出もされていた。良いヨットは高寿命で、レストア
して再生させることもできます。これから日本も歴史を重ねていくと、古くなったヨットがどうなるか
が解ってくるでしょう。再生がきく物、きかない物、古くなればなるほど差が出ます。

海外では50年以上古いヨットがかなり市場に出ています。あるニュージーランドの方は100年
たったヨットのレストアをされています。ヨットは車と違って、長く持つのです。ですから、海外の
中古艇は価格が簡単には落ちない。ところが、日本では歴史が無いためか、車と同じような感覚
で、価格が落ちてくる。これは再考されねばならないと思いますね。しかも、海外では同じ年式
でも手入れの良いヨットの方が高く売れる。日本では年式優先です。

ご存知でしょうか。海外では新艇より高い中古艇があるのを。新艇は完璧ではありません。乗って
手入れして、装備して、そしてより良い姿になる。だから、新艇より高いのです。買う方もそれを
わきまえている。お国柄と言えばそれまでですが、でも日本ももっとその物の価値を見るべきでは
ないでしょうか。そうすると、日本にも良いヨットがたくさん入ってくると思うのです。

それからもうひとつ、限られた予算で良いヨットを買うには中古艇をお奨めします。品質の良い中古
です。その方が、品質の良いヨットのメリットを享受できるからです。寿命は長いのですから心配
ありません。こういう風に探し、選択されたらいかがでしょうか。

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