第14話 デザイン
| これは見た目の問題だけに留まらず、ヨット全体の性格を決定します。非常に重要です。単に、 クラシックとかモダンとか、そういう問題だけではない。どういう性格を持たせるかによって、船体 のサイズ、それに対する水線長、幅、船艇形状、キール形状、深さ、バウとスターンの形状、マス トの高さ、マストの位置、セールプラン、様々な要素がそのヨットの性格を物語る。キャビンのレイ アウト、広さ、収納の大きさ、船体重量、燃料と清水の容量、それらの位置。全てが関わってくる。 それから忘れてならないのがメインテナンスのし易さ。どんなに良いヨットでも、メインテナンスを無 視したデザインは駄目ですね。 どのデザインが良いとか優れているという問題ではありません。コンセプトが同じ方向にあってこそ 相対的に良い悪いが出るものです。ですから、コンセプトの異なるヨットを比較しても、あまり意味は 無いとも言えます。例えば、外洋ヨットとデイセーリングする為のヨットは全く異なる。あたりまえです。 同じである必要は無いし、同じなら、どちらかが使いにくいもの、不向きになるだけです。デイセーリ ングに大量の燃料は不要ですし、外洋艇には大きな収納も必要、難しいのは、どちらかにきちっとあて はまれば良いのですが、中間的というのもあります。 速いのが第一の優先なら、できるだけ長い水線長、バウのオーバーハングは無く、殆ど真っ直ぐ水面 に落ち、スターンにもオーバーハングは無し、軽い船体にする為にFRPをできるだけ薄くするか、強度 を持たせる為にハイテク技術を使う。コクピットは広く、クルーが動きやすいスペースが必要ですし,船内 も必要最低限にする。船底はフラットでできるだけプレーニングし易く、キールは細くして舵効きが敏感 薄くして抵抗を減らし、深くして上りを良くし、バラストは下部に集中してスタビリティーを稼ぐ。不足した スタビリティーはクルーの体重移動で行う。マストは高く、セールエリアを稼ぎ、フラクショナルリグで マストコントロールをし易く、マスト素材はカーボンなどで軽くする。反面、こういうデザインはデッキは ウェット、乗り心地は悪い、舵効きは敏感だから,ぼーっとはしてられない。 クルージング目的といっても、デイセーリングから、沿岸クルージング、本格外洋目的まで様々。通常は デイセーリングから沿岸クルージングが主体となるでしょう。バウのオーバーハングは大きい程、波が デッキに上がってこない。しかし、水線長が短くなる。スターンのオーバーハングを大きくすると、幅は 狭められ、追い波に強いがコクピットは狭くなり、水線長も短くなる。そうすると、キャビンも狭くなる。 船体が重たくなると、波に翻弄されにくくなるが、艇速は落ちる。重心を低くする為に水線から上を低く デザインすると風圧面積は小さくできるがキャビンは狭くなる。バラストを重くするとスタビリテイーは上 がるが、排水量は大きくなる。キールを前後に少し長いタイプにして喫水を浅くすると、座礁の心配は 軽減されるが、上りは悪い。常に、プラスの影にマイナスが潜むことになります。 |