第25話 ヨットを見なおしてみる

先日、ある方から昨年のヨット業界の話を伺いました。誠に残念ながら、艇数が減ってきている
そうです。それで業者は少なくなった数を金額で埋めるべく大型艇を一生懸命売る努力をします。
この間もある方に小型ヨットをお世話させて頂きました。そして周りから何故もっと大きな艇を売れ
ばよかったのにと言われました。

私も大型艇を売ってみたい。できればメガヨットでも売ってみたいと思います。こういうプロジェクト
に関われるとどんなにエキサイティングかとも思います。でも、本当はもっと多くの方々が自分に
あったサイズをどんどん乗って、セーリングの楽しみを知る事が大切なのではないかと思うのです。
私自身大型艇のクルーもしていますので、大型艇の良さは十分解るつもりです。しかしながら、人
が気軽にセーリングの醍醐味を味わうに気軽に行動に移せる小型ヨットは多いに増えるべきでは
ないかと思うのです。

ヨットをやめる方々は何もこの不況だけが原因では無いと思います。この気軽さとセーリングの醍醐味
を味わえなかった。だからヨットに対して魅力を感じていない。こういう事も少なく無いと思うのです。
遠くに行くには大きな方が楽であるという事実はあります。でも、遠くへ行かないでもヨットの醍醐味は
目の前にある。それなら小型でも良い。場合によっては小型の方が良いかもしれません。

小型といいましてもそれぞれですが、究極的には自分に合ったサイズという事になります。大小は相対
的ですから数値で表す事はできませんが、あるベテランオーナーは25フィートがぴったりという方がおら
れます。また、ある方は35フィート前後と言われます。どちらも正しい。ただ、自分に合ったサイズとは
自分で自分に聞くしかありませんが、コクピットに座って見たヨットから受ける感覚でしょうね。小さ過ぎて
頼りなさを感じる。大き過ぎて乗りこなせるか不安になる。そのどちらでも無い、程よいサイズというもの
は自分で感じるしか方法は無いんですね。以外に、数値で考えるより、コクピットに座って全体を見てみる
と解ると思います。感じられると思います。ちょっと小さいけど、これで充分だなと感じる。理屈では無い。
自分が一人でセーリングに出て、縦横無尽に走って、帰ってくる。こういう乗り方ができるのが良い。

ちなみに、私の一番のお気に入りはアレリオン28です。最初は小さいなという印象を持ちましたが、コク
ピットに座って全体を見回した時、これで充分だと感じました。キャビンが狭いのは妥協できる。それより
乗りまわして楽しいセーリングができると思いました。自分でメインテナンスしがいもありそうだし、デザイン
も気に入っています。今はまだ自分の物とする事はできませんが、いつか、手に入れることになると思って
います。

たいせつな事はセーリングを楽しめる事を第一に考えて、自分にぴったり合ったサイズを見つける事です。
これがヨットを最も楽しめる入り口になるのではないでしょうか。隣のヨットが大きかろうと、小さかろうと関係
無い。隣が世界一周しようと、九州一周しようと関係無い。ヨットと海は私だけの為にあるのです。私がどん
な楽しみ方をしたいかを私が決めれば、世界はそれに答えてくれる。

ヨットと海はあなた一人だけの為にある。

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