第56話 ショートセーリングカルテット

近場のセーリングには、実は小型ヨットの方が面白いと思います。どの程度小型かは、自分が
どの程度の意識的パワーがあるかどうかです。これは良し悪しや技術のある無しでは無く、ど
の程度が気軽に楽しめるか、自由自在に操れるかによります。最近のヨットは同じサイズでも
ボリュームが大きくなりましたから、それも考慮します。個人的には、25フィート前後から30フィ
ート以下ぐらい、特に最近のヨットのボリュームからしたら、私には30フィートはでか過ぎる。そう
感じています。乗れない事は無いでも、自由自在、制御するという感覚には今はならないと感じ
ています。もちろん、シングルハンドです。

今、24フィートのそういう理想的なヨットを造っています。こじんまりしたヨットですが、シングルハン
ドに最適な艤装、ウッディーなルックスを検討しています。キャビンは狭いのですが、良い雰囲気
を造れればと考えています。乗る楽しみから、ちょっとお茶でも飲む、落ち着いた雰囲気、それで
いて自分でメインテナンスができて、知り尽くせるサイズ。そういうのを目指しています。多分、後
1ヶ月かそれ以上ぐらいはかかるでしょう。発表が楽しみです。
前にも書いた半径10マイルを楽しむ。登りと下りで、往復すると距離は24マイルです。ですから、
丁度サイズと同じですので、”MILES 24”と名づけます。多くの方々に楽しんでいただけると良い
と勝手に思っています。

往復24マイルは平均4ノットなら6時間。1日の距離としては充分すぎるくらいでしょう。通常は、
2,3時間でも充分です。この範囲内で充分ドラマを体験できます。このサイズですと、マリーナの
出し入れは簡単ですし、風が無い時などはエンジン無しのラダーリングでもいけます。うまくなれば
セーリングで出し入れもできるようになるでしょう。ちなみに、私の知り合いで昨年ヨットを始めた人
が居ます。ブルーウォーター24を購入し、今はセーリングでの出し入れの練習中、暇がある時は
午前と午後に2回出したりしています。まだ、1年にも満たない彼ですが、これで長崎や種子島に
まで行きました。ここまで皆さんにお奨めするつもりは無いですが、やろうと思えばできる。彼曰く
ヨットが面白くてたまらない。

ショートセーリングのドラマは風光明媚では無く、波と風とヨットと自分にあります。この4つの要素
のハーモニーが造るドラマは乗った人にしか解らない。エキサイティングなドラマ、風の無い退屈な
ドラマもあるでしょう。それらを全部含めて、セーリングの要素がぎっしり詰まっているセーリングカル
テット。主役はあなたです。主役のあなたが居なければ、脇役のトリオは出番が無く、ドラマは始まら
ない。

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