第二十四話 もっとセーリングを

先日マリーナに行きましたら、そこに居るのは、殆どがマリーナのスタッフと修理業者さん。海を見渡しますと、わずか2艇がセーリングしてました。桟橋には。殆ど誰も居ませんでした。休日じゃ無くて、平日なんだからと言えるかもしれませんが、でも、ヨットオーナーには、既に、仕事を引退した人達がたくさんおられます。別に、皆さんクルージングに行かれたわけではありません。

仕事現役時代は、忙しくて、なかなか乗れなかった、遠くにクルージングに行きたかったが、なかなか難しい。だから、仕事引退したら、それができる。でも、現実は、実際に行く人は少ない。何故なんでしょうか?

仕事で忙しい時期であっても、合間にデイセーリングを続けた方がおられます。仕事の関係上、遠くは当分行けません。ならば、今はデイセーリングに徹して、セーリングを楽しむと割り切られました。もう、10年以上ヨットやってますが、湾内から殆ど出た事無いと言われました。でも、しょっちゅうセーリングはされていた。

その後、このオーナーは引退されます。そして、すかさず、クルージングへと出かけられました。既に、長い間、ヨットに親しんでこられたので、何の躊躇も無かった。今日 GPSがあるので、ナビゲーションも楽になりましたし。 一度目は、数週間で帰ってこられて、二度目はもっと足を伸ばし、どんどん長距離になって、最後は、日本一周。

その後の乗り方は、日常はデイセーリングを楽しみ、年に一回ロングを楽しまれる。ロングと言っても、そう遠くでは無く、まあ、近場ぐらいです。それで、ある日、クルージングに出て、そろそろ帰るという事で、湾の入口まで来て、でも、たまたまその時良い風で、最高だったから、帰らずに、そのままセーリングを続けて、今度は反対方向へと、そのままクルージグを続けられた。こういう方もおられます。

また、ある方は、引退したら、ロングクルージングに出たいと思われ、典型的クルージング艇を購入し、クルージングに備えて、あれこれ考えておられました。良く相談もされました。でも、引退した途端、ヨットに来られなくなりました。その後、ヨットを手放されてしいました。何があったんでしょう? あれだけ熱が入っていたのに。

このお二人の違いは、実際に引退して、クルージングに出かけられる様になる前の違いではないかと思います。おひとりは、将来は兎も角、今はできるデイセーリングを楽しまれてきました。でも、もうひとりの方は、将来への準備ばかり考えてこられました。この違いではないかと想像します。

将来、何をするにしても、今を楽しむことが重要なのではないかと思います。それが、将来への準備にも同時になると思います。ですから、今、セーリングを楽しんで頂きたいと思います。何も、クルージングだけがヨットじゃない。おっと、このセリフは以前、セーリングはレーサーだけの特許じゃないと書いた事を思い出しました。セーリングは皆んなのものなんだと思います。レースしようが、クルージングしようが、何をしようが、セーリングを楽しんでほしいと思います。もっとセーリングをというのは、他の全ての可能性への扉を開ける事になるのではないかと思います。

クルージング主軸で、その合間のセーリングでも良いし、ピクニックの合間のセーリングでも良い。セーリングが主軸で無くても良い、何でも良いから、暇があったら、シングルで散歩セーリングを楽しんで頂ければと思います。

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