第二十六話 ヨットの原点
ある方、ヨット初めてでした。それで、30フィートのクルージング艇を購入されました。何度かご一緒致しましたが、自分が、自分のヨットで、海に出て、こんな所まで来れるなんてと、感激されてました。 ところが、その後がいけません。気持ちは近くに迫った引退後のクルージングです。気持ちがそこに行っちゃたら、近場がなおざりになりかねません。あの感激もどこへやら。結局、引退後はやめてしまわれた。引退するまでの期間、しょっちゅうデイセーリングをされたら、クルージングにも行けたのではないかと思います。 また、ある初心者の方、今度はデイセーラーです。全くの初心者でデイセーラーを購入される方は、正直、少ないです。ですが、この方、デイセーラーを支持されました。それで、三日間、一緒に乗りましたが、四日目からはシングルハンドでした。どうせ遠くに行ける暇なんか無いし、デイセーラーは簡単に初心者でも走らせられる。 もちろん、その後、デイセーリングを軸に、クルージングなんかにも行かれました。彼女誘ってデートセーリングもされてました。ちなみに、若い独身の方です。 デイセーラーのオーナーになった方で、その後、手放す方は非常に少ないです。全く無いわけではありませんが、海外に仕事が移ったとか、もっと速いデイセーラーに買い換えたとか、そういう事はありますが、普通のクルージング艇に行かれた方は、全く居ませんね。殆どの方が、そのまま長く乗られます。これは、海外でも同じで、進水した数に比べたら、中古市場に出てくるデイセーラーはとっても少ないです。これは何故か? 何を言いたいかと申しますと、日常を重視して、日常に楽しさや面白さを見出してしまいますと、手放せなくなるんじゃないかと思うのです。将来の事をいろいろ考えても、将来は将来の事、今を楽しむ事が将来の可能性を高めると思うのです。ですから、セーリングを楽しんで頂きたいと思う次第です。散歩で良いんです。散歩でスイスイ走りましょう。それがセーリングヨットの原点だと思います。遠くに行った事ないけど、セーリングなら結構得意ですというのも悪く無いな〜と思います。 |