第三十六話 ヨット再考

世界的に言える事ですが、ヨットのサイズが大きくなりました。40フィートは当たり前で、50、60、海外ではもっとでかいのも珍しくない。しかも、サイズだけでは無く、幅も高さもでっかくなり、そのボリュームは長さだけでは判定できなくなりました。もちろん、日本でも、海外程では無いにしろ、同じ道を辿って来ました。

あるアメリカの雑誌にこういう記事が出ました。”1990年代、ヨット販売業者は、もっとハッピーなセーリングを楽しむには、フル装備にした方が良いとオーナー達を説得し始めた。 しかし、当時、多くのセーラーは、日帰りとか、昼からの半日、夕方とか、そういう使い方が多かった。 だから、シャワーや冷蔵庫等々、そういう物は、本当は必要無かったかのもしれない。”

でっかいヨットは、遠くを目指すに相応しい。その大きなボリュームから言っても、自然とそうなっていきます。ちょっと出すには、何だか面倒くさい感じになりかねません。だから、その後、そのフル装備のでかいヨットを別荘にしてしまう人達が増えていった。

”しかしながら、本当は、もっと近場で、気軽にセーリングした方が楽しめる。そういう考え方も、一方では芽生えていた。” とその記事は続きます。それが今日のデイセーラーを生み出しました。大きくなり、フル装備になっていく一方で、近場のセーリングを重視したヨットでした。

2000年代に入って、そのデイセーラーのコンセプトは少しづつ広がりを見せていきます。反面、別荘的使用方法が陰りを見せ始めた。一部の人達は、自分達のライフスタイルが、でかいフル装備の別荘に縛られていく様な感じを持ち始めた。

元々は、気軽にデイセーリングを楽しんできたのが、別荘に変わり、また、その一部の人達はデイセーリングに戻って行き始めた。また、アメリカの別の雑誌は、今日のデイセーラーを ”セーリングに対する新しいアプローチの誕生。” と評しました。アメリカも変化の時を迎えていると思います。もっと気軽に、スイスイ走った方が面白いんじゃないか? それが今日のデイセーラーの広がりに見て取れます。

  
                         アレリオン28

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