第九十四話 Huzar 28

ポーランドのデイセーラーです。排水量は2,500kg、バラストは1,200kg セール面積は51uです。これまでずっとこのTALKをご覧頂いた方は、このデータですぐに気が付かれると思いますが、28フィートのデイセーラーにしては、かなりセールがでかい。SADRは案の定高く28にもなります。パフォーマンスがこの様に高い数値のデイセーラーは、排水量が軽いのが普通、しかし、このヨットの排水量は、デイセーラーにしては重目の方です。どうも、これまでのデイセーラーとは違う。矛盾を感じてしまいます。狙いは何だろう?

高い帆走性能を狙うなら、排水量をもっと軽くした方がと思いますし、その方が、セールがもっと小さくても、同じパフォーマンスを達成できる。或いは、もっとゆったりなら、セール面積は下げた方がと思ってしまいます。楽になるし、それでも、そこそこのパフォーマンスは達成できる。どうも、排水量とセール面積のバランスが、これまでとは違います。例えば、もちろん見た目は全然違いますが、アレリオン28にでっかいセールを設置して、ハイスピードを狙った様な感じです。何か、違和感を感じないでもありません。でも、デザイナーはプロですから、どこかに狙いがあるはずです。

仕様書を見ますと、デイセーラーにもなるし、レーサーにもなる。そんな感じです。ギャレーがあり、電動トイレがあり、陸電があって、内装もそこそこ作ってある。オプションでは電動ウィンチがあって、カーボンマストがあって、セールはクルージングセール以外には、パフォーマンスセール、レーシングルセールもあって、ランナーのオプションもある。それにキャビンヒーターもある。オプションリストは、クルージングからレースまで、いっぱいです。何とでもなるという感じ。要は、オーナーが、どういう選択を求めるかで、仕様が変わる。デイセーリングモードにするか、レーサーモードにするか? 

基本の仕様を見ると、普通のデイセーラー以上にクルージング仕様みたいですし、だから排水量が重くなっているのだろうと思います。でも、カーボンマストにして、レーシングセール付けて、レーサーにだってなれる。セールはでかいですから。ご要望次第という感じがします。どうせなら、リグの選択もできた方が、矛盾が少し解けるような気がしないでもありません。デイセーラーに徹して、バラストは重いので、そのまま維持して、内装をもう少しシンプル化して、軽くし、セールも少し小さくしたら、抜群の安定感とパフォーマンスが得られるのにな〜と思わないでもありません。

まだまだ正確にこのヨットを理解したとは言えないかもしれませんが、クルージングからデイセーラーからレーサーまで、三つの可能性を提供している様に見えます。多少排水量が重いのは、セール面積でカバーする事でレーサーとしての可能性を維持しているような?
実際は乗って見ないと解りませんし、人に寄っても感じ方は違うと思います。デイセーラーが増えると、いろんなバリエーションが出てくるのは必然ですね。いろんな装備もちゃんとついて、でも、速いというアピールなのだろうと思います。

  
  
  
  
  

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