第五十四話 ニューアプローチ



      
アメリカの雑誌は、デイセーラーを、セーリングに対する新しいアプローチの仕方の誕生と表現しました。
デイセーラーのセーリングは、クルージングを軸にするわけでは無いし、レースを軸にしていおるわけでもありません。新しいアプローチスタイルと言うわけです。

何が新しいかと言って、セーリングに対してグッドフィーリングを目指したという事ではないかと思います。セーリングを重視しつつ、でも、スピードが全てでは無いし、レーサーの様にレーティングを有利にしようという意図もありません。目指すは、シングルで、簡単操作で、それでいて、いかにグッドフィーリングを獲得できるかです。

クルージング艇より軽く、一部には本格レーサーレベルのパフォーマンスのデイセーラーもあります。でも、遥かに操船は易しく、シングルでできる。クルージング艇の様に、どこかに行く目的があるわけじゃありません。また、レーサーの様に、速くても、競争しているわけでもありません。そうなると、重要なのは、フィーリングです。そして、セーリング自体が持つ頭脳プレー的な面白さです。

しかし、操船が容易とは言っても、自分自身が、自分のヨットについて、また、セーリングについてあまり知らなければ、グッドフィーリングも限定的になります。だから、大雑把なセーリングから、より洗練していく事によって、自分の感覚を進化させる事になり、その感覚を、より楽しむ事ができる。その洗練していくプロセスこそが、面白さであり、それがデイセーラーのコンセプトだと思います。

とは言いつつ、本当は、使い方は自由なんです。遊びですから、各自が好きな様にやれば良いはずです。ところが、長年続けていきますと、やはり限界を感じてくると思います。だから、いつかの時点で、しかも早いうちに、洗練していくセーリングというのを意識してやった方が、セーリングだけに限らず、ピクニックでも、レース参加でも、より面白くなると思います。

        

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