ヨットは趣味だと明確に意識してはどうかと思います。単なるレジャーにしては、少なからず知識も技術も必要であります。そんなレジャーが他にどこにあるだろうか？　だいたい、レジャーはお金さえ払えば誰かがもてなしてくれる。しかし、ヨットは、例えピクニックだとしても、最低限、マリーナから出航して、セールを上げてセーリングができる知識と技術が必要です。それが簡単だとしてもです。自分で自分をもてなすわけです。

もし、動かさずに、別荘にするのだったらレジャーとなり得たかもしれません。欧米人は実際そうしたわけです。しかし、日本ではレジャーに徹する事ができなかった。かといって趣味にもなしえなかった。いつの間にか、頭はレジャーとなり、でも現実はレジャーでは無かった。そのギャップが、今日の結果ではないかと思います。

さて、そこでもう一度仕切り直しです。ヨットを趣味として扱います。趣味ですから、より豊富な知識と技術を持った方が、より楽しめます。何しろ、趣味はそこに精通していく事で喜びを感じるものですから。セーリングの理屈を知って楽しみ、実際に走らせて楽しむ。さらに、それを向上させていく事が趣味の趣味たる所以になります。

レースに精通したり、クルージングに精通したり、そしてセーリングに精通していく。そこを趣味として捉える時、初めてヨットはヨット足りえる。昔は結構そういう傾向にあったと思います。今みたいには情報も多く無かった。あのセールはどうなんだ？　セールトリミングがどうこう、あのキールはどうだろう？　みんなそういうヨット談義をしてきました。それはみんなにとって趣味として自然に捉えていたからだろうと思います。

それがいつの間にかレジャーとして意識され、趣味との併用なら良かったのですが、趣味が消えて行った。だから、ヨットはからは格別の何かを得る事も無くなってきた。それは多分、クルージング艇が内装や快適設備を充実させてきたからではないかと思います。なかなかヨットの旅に出る事なんてできません。だから、その快的さに意識が向かった。それがレジャーです。でも、そのレジャー、自分で全部やらなければなりません。しかも、いつも同じ海域で、珍しさも無い。温泉だったら、例え、同じ場所でも向こうがもてなしてくれるんです。

セーリングを趣味として扱えば、同じ海域で、同じヨットでも、そのセーリングに精通して向上を感じる事ができます。目的はセーリング自体にあります。それこそが趣味であり、面白さです。それを軸にしていればこそ、長期に渡ってできるし、ピクニックも活きてくると思います。ですから、これからは、ヨットは趣味ですと意識してはどうでしょうか？　セーリングの奥深さを愛でる趣味です。そうなれば、セールフィーリングを取り戻す事ができます。

クルージング艇が快適性を目指し、それを見て快適症候群が一時的に流行っただけに過ぎません。快適さを求めたわけじゃない。面白さを求めたんです。意識がセーリングにあれば、それは趣味の世界。であればこそレジャーとしても楽しめるようになると思います。もし、ゴルフが趣味だったら、誰でも上手くなりたいと思います。それと同じ事だと思います。キャビンと快適設備が一時的迷わせてしまった。でも、これからは、趣味として、セーリングにグッドフィーリングを感じていきたいと思います。