スピードが全てでは無いとは言いつつ、進化、発展はそっちの方に向かいます。排水量は軽く、セールは大きく、でもそうするとスタビリティーが不足して来る。それで、キールが左右に動くカンティングキールが開発され、さらに、横っ腹からボードが飛び出してくるダイナミックスタビリティーシステム(DSS)も開発されています。この二つはどちらもスタビリティーを上げる事によって、より大きなセールで走ろうという試みです。これが将来一般的になるかどうかは解りませんが、レーサーの話です。
これらを見ると、スピード追求は新しい段階に既に進んでいます。排水量を軽くすればする程、バラストは軽くならざるを得ない。よって、強風時のスタビリティーを上げる事で、もっとスピードを得ようという事です。スピードの追求は、排水量から安定性になってきた。
そうなってきますと、一方では、これとは別な世界が重視されます。それはスピード以外の性能をどうするかです。これは人間のフィーリングに大きく関わります。速さで無ければ何だ? 人間の感じる心地良いフィーリング? そのひとつがセーリングの滑らかさだと思います。 それから、波や風に対する船体の動き方とか、舵のフィーリングとかレスポンスとか、しかも、人間の好みの違いもあります。だから、今でも、クラシックデザインが重視されるのかもしれません。
しかし、残念ながら、フィーリングを示す数値データというものがありません。だから難しいわけですが、だからこそ、フィーリングは重要なんですね。この方面への進化、発展は、全ての要素の総合力になります。排水量であり、バラスト重量であり、セール面積であり、船型であり、スタビリティーであり、水線長であり、船体剛性であり、造りの質であり、また見た目のデザインも深く関わります。各要素もありながら、全体のバランスもあります。この辺りの進化、発展を走るのが現代のデイセーラー群だと思います。フィーリングという性能です。
ビデオはDSSのプロモーションンビデオです。
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