第六十九話 スピードと安定性



      
サイズをでかくしていくと、スピードと安定性の両立がし易くなります。しかし、サイズアップ無しでスピードを上げていきますと、カンティングキールとか、前にご紹介しましたDSSとかは別にしても、普通は安定性が低くならざるを得ないと思います。ダウンウィンドで、ジェネカー張ってプレーニングし易くて速いというのは解るんですが、上りはどうなんだろうという気がしてなりません。

レーサーだったら、クルーが何人も居てハイクアウトさせますが、デイセーラーではそうはいかない。そういう前提はデイセーラーには無いと思っています。それで、リーフすれば良いし、それでも速いなら良いという考え方も確かにある。しかし、もっとスピードを追求していくとなると、それも上手くいくんだろうか?まあ、その辺りはプロデザイナーはどう考えているのか興味ありますね。通常、デイセーラーはワンポイントリーフですが、セールをでかくして、2ポイントとか、或いは3ポイントも作ったりして?

セーリングは上りもあり、下りもある。下りのプレーニングスピードではハイスピードを得られるとして、やっぱり上りにはセーリングの醍醐味もある。上りは安定度が重要になると思います。そうなると、セール面積とバラスト重量の関係になると思います。今後、スーパーに速いヨットが出てくると思いますが、どういうデザインになっていくのか、非常に興味深々であります。

今の処、見まわしてみますと、軽い30フィートヨットで排水量からバラスト重量を引きますと、だいたい1,000kg程度と思われます。すると、これに何キロのバラストを設置するかで排水量が変わってきます。セル面積とバラスト重量のせめぎ合い?

或いは、こういうハイスピードデイセーラーはデイセーラーとしてのジャンルにこだわらなくなって行く可能性もあります。ワンデザインレース主体となるかな? でも、風が弱い時はフルセールできますから、速いし、面白い。う〜ん、興味は尽きません。

人はどこまでスピードを追求していくんだろう? 写真のヨットはC 30という デイセーラースポ―ツボートと称してますが、データを見ますと、排水量が何と990Kgしかありません。バラストは400kg、どうも150?タンク2個を持って、ウォーターバラスト的な仕様があるようですが、それにしても軽い。それにセール面積は64uもあります。これって、上りはどうなんだろう? それとも、上りはある程度犠牲にしてでも、下りをすっ飛んで走る。そういう考え方なんだろうか? 

        

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