第七十七話 ヨットに対する概念



      
これまで多くのデイセーラーをご紹介してきました。そして、今でも新しいデイセーラーが生まれつつあります。何故、こうもデイセーラーが次々に登場してくるのか? 一方では、クルージング艇がさらに大きくなり、便利装備満載になっていってます。そして、デイセーラーは便利を追求するのでは無く、快適セーリングを求めます。

この二つはあきらかにヨットに対する概念が違っています。どちらも快適を求めますが、クルージング艇は快適な居住性、一方デイセーラーは快適なセーリング、何を求めるかで、それぞれのヨットがより濃縮された形で表現されてきています。

これはヨットにたいする考え方、人生設計におけるヨットライフの捉え方の違いと言えると思います。簡単に言えば、デイセーラーはスポーツとして考える。他のスポーツと同じようにセーリングをスポーツ的な考え方で、ジョギングしたり、ゴルフやテニスを楽しんだり、そういう捉え方をするようになってきたのだろうと思います。一方、クルージング艇では、「生活」 というキーワードがある様な気がします。

ゴルフをされる方は多いと思いますが、いくら好きでも、毎日、朝から晩までやるわけでは無いし、ゴルフ以外の事も楽しむと思います。それが他のスポーツかもしれませんし、映画や音楽や、旅行等々かもしれません。つまり、プロにでもなろうとする人以外、ゴルフは重要だけれど、人生の全てでは無く、一部であり、気軽に楽しむスポーツです。

セーリングをそれと同じ様に捉えた時、ヨットに陸上の全ての快適装備を持ち込まなくても、もっと気軽にスポーツとして楽しむ事ができる。そういう考え方が広がってきた。そう考えますと、シンプルで快適なセーリングを求めるようになり、短時間で気軽に楽しめるセーリングという概念が今日のデイセーラーによってもたらされてきたと思います。もはや、ヨットにしばられるスタイルでは無く、もっと気軽なスポーツとしての捉え方ではないでしょうか。もちろん、スポーツと言ってもレースとは異なるジャンルです。

        

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