第九十話 効率症候群


      
ある意味、現代人は病気です。利便性を求め、効率を求める病気です。それで、たまに思い出したかの様に、心の豊かさはどうこうとか言う。当たり前だと思います。かつて、スローライフという言葉が流行りましたが、それだけでも片手落ちで、利便性と効率を求めるのは進化の必然、ただ、そのバランスと使い分けを考えた方が良いかと思います。利便性を幸福と思うのは勘違いで、それは一方のスローライフだけでも同じではないかと思います。

そこで、我々には遊びというものがあります。理屈では無く、心で感じるもの。遊びの本質は利便性でも効率でも無い。ただ単純に楽しいか、面白いかです。普段の生活は効率を求めたとしても、遊びにおいては面白さを優先する。これによって人間はバランスを保てるのではないかと思います。遊びにも効率主義になると、心に潤いが無くなるのではないでしょうか?

心を豊かにする唯一の方法は感じる事だと思います。より多くを感じる事。良いも悪いも、いろいろ感じる事で心は満たされていく。その感じた事を、頭脳を使って成長し、さらに感じる内容を成長させていく。これを知れば、効率症候群という病気が治癒され、バランスを取れるようになれるのではないでしょうか。

セーリングはまさしくそれに当たります。 感じるセーリングを意識してはどうかと思います。エンジンをカットして、自然の音だけを聴いて、無心に走らせる。感じて、感じて、感じまくるセーリングです。五感があらゆる動きを感知します。

現代はコンピューターが発達し、人工知能も進化し続けています。これでますます効率は良くなる。バンザ〜イと一方では言えますが、それが発展すればする程、我々はもっと感じなければ幸福を感じれなくなるのではないでしょうか。人間が考えて到達できる感覚には限界がある。どこ行って、こうして、ああして、それには限界がある。でも、無心になって、ひたすら感じる世界は無限だと思います。いつか、セーリング、バンザ〜イと言える日が来るかと期待しています。

写真のオヤジのにっこりした笑顔、楽しそうですね。 体には栄養を、頭脳には知識を、そして心には潤いを!効率はその助けにはなっても、潤いそのものにはなり得ないと思うのですが。だからもっとセーリングを感じる事が必要だと思います。

        

次へ       目次へ