第十四話 好きなヨットで海に出る



      
自然は制御できませんが、少なくとも、自分のヨットはできるだけ制御できるようにしたい。自分が気に入ったヨットを自由自在にコントロールできたら良いですね。好き嫌いに理屈は不要ですから、感覚的に選びます。理屈は大抵その後で付け足される。美しいと感じたヨット、それが重要だと思います。

惚れ込んだヨットを美しくメインテナンスして、海に出る。何だかそれだけでも心が弾む。陸上の世界から海へ出ると気分が一新されます。その一新された気分の味わいこそが重要です。気分によって、簡単な操作で済ましたい事もあるでしょうし、ありとあらゆる装備を駆使して繊細さを感じたい事もある。そんな世界を普段過ごしている生活とは別に持つ事ができるのは至福以外の何物でも無いような気がします。

こうしたい、ああしたいと誰もが考えますが、一方では、与えられた状況をそのまま感じて一息つくという事もあった方が良いように思います。ビュンビュン走らせるだけがセーリングじゃ無いし、海はその為だけでも無い。漂う様な状況から全神経を集中させたビュンビュン走るフィーリング、それぞれをそのままに味わう事ができたら良いなと思います。

その為のベースになるのが、自分が美しいと感じたヨットで、それをいつもメインテナンスして気持ち良くセーリングができる状態を創り、そのうえで自分の腕を磨いていき、自由自在にコントロールできるようになる事。 自由自在って、何も高度でなければならないわけじゃ無くて、簡単操作で自由自在もあるし、高度な自由自在もあるし、進化しながらその都度のレベルの自由自在を感じていけば良いんじゃないかと思います。

好きなヨットで海に出る。その気分を感じながら、その日の海とセーリングを感じます。漂う時もあれば、ビュンビュンもある。シングルもあれば、家族と一緒の事もある。いろんな時があって、いろんな味わいがある。これらを全部引き受けて良しという事にしましょう。

        

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