第五十一話 市場の違い?



      
海外では50年、60年、それ以上古いのもありますが、レストアされてちゃんと価値評価され中古市場に出ていたりします。 レストアの価値が十分生きている。でも、日本ではレストアしたとしても、売りやすくはなっても、なかなか価値が評価されません。そんな古いヨットに何百万も払うぐらいなら、もっと新しい方が良いという事で、レストアの価値は評価されません。

これはどこから来ているのか? 推測ですが、新艇ヨットに対する価値評価にあるんじゃないかと思います。 同じサイズでも、安いヨットと高価なヨットでは3倍ぐらいの値段の開きがあります。そして欧米市場はそれぞれの価値を認めている。だから、高価なヨットを建造する造船所もちゃんと存続できています。日本市場はなかなかその価値判断が難しい。

海外でも安いヨットは人気が高いのは当然です。でも、同時に高品質な高価なヨットも認められ進水しています。高品質のヨットは確かに違う。それで、古くなってもレストアなんかして蘇えらせるという事ができます。その品質を今新艇で造るより安いという事かもしれません。 もちろん愛着もあると思います。

しかし、もし、安いのも高いのもごちゃ混ぜなら、レストアしてまで蘇らせる価値を見出す事はできません。これは歴史の問題かもしれません。前話でサベイヤーの事を少し書きましたが、これも含めて、ヨットの品質と価格、新艇でも中古艇でも、これに社会的認識が生まれてこないと発展はしにくい。これには歴史の長さ、深化が必要なのかもしれません。個人ベースでは解っている人も居ますが、市場としてはまだまだ。何も、みんなが高品質のヨットを買うべきと言う事では無く、違いを理解する事ではないかと思います。みんなが理解すれば、市場が理解するという事になり、それぞれの本来の価値がいきてくる。

ところが、ヨット界には若者が少ない。だから歴史を積み重ねるにも先細りの感があります。GDP世界三位、海岸線も長い国、にも拘わらず市場は縮小傾向にある。これじゃあ歴史もへったくれも無い。このまま行くのか? 何とかしなければ。でも、なる様になるかな。

写真はフレンドシップ40、恐らく世界で最も高いデイセーラーかもしれません。本当はこんなのが日本に2つ、3つあってもおかしくない。欧米から見たらそうだろうと思います。
        

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