第八十九話 軟弱の薦め



      
ちょいと出して、スイスイとセーリングを楽しんでくる。その高い性能を味わってくる。個人的にはこれだけでも十分楽しい。仮に、誰かに乞われて、どこかにクルージングに行くにしても、長くても往復一週間以内、もっと短くて、2,3日でも充分と考えます。旅先では一泊ぐらいならヨットでも良いが、二泊目はホテルかな? その方が疲れが取れるし、快適です。所謂、軟弱なヨット乗りかもしれません。旅先で温泉入って、ご馳走頂いて、ビール飲んで、そのまま寝る。そっちの方が楽で良い。軟弱そものです。

そう言えば、昔やった山登りも冬山を避けて、夏限定。これも軟弱登山だった。でも、それで良かった。多少の苦しい思いもしたが、登山には良い思い出ばかり。

もちろん人によっては時化を乗り越えて大海を渡る処に意義を見出す方もおられます。でも、軟弱の薦めはもっと近場で、その代わり、セーリングのより深い処を味わってみたい。だから、基軸はデイセーリングにあります。セーリングの妙を自分の操船で味わいます。

こんな軟弱コースでも、何年も続けていきますと、それなりの深さが出てきます。滑らかな動きが身に付き、より感覚が鋭くなって、よりセーリングの繊細さが解ってきます。それもヨットの楽しみ方のひとつだと思います。自由自在に走らせられる感覚、セーリングが解っているという事、決してレーサーの様には行かないけれど、軟弱は軟弱なりに面白い。だから軟弱の薦めであります。



お気に入りの美しいヨットを自由自在に走らせたい、それだけであります。良いヨット、美しいヨットだと気分がより乗ってきます。すごい事をやってのけるわけじゃ無いけれど、お気楽でも、長く続ければ得るものも決して少なくは無い。お気楽だからこそ、長く続ける事ができると思います。これって結構すごい事なんじゃないでしょうか。

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