考えてみたら、上りでスピードアップを図っていくと、見かけの風はどんどん前に行きます。ボートスピードが上がれば上がる程に前に行くという事は、スピードが出過ぎると、風向は正面に近づき、走れなくなる。
という事は、上りのスピードには限界がある。そこで、ヨット全体のスピードを図る為には下りのスピードアップという事になります。

上りには少なからずスタビリティーの高さが必要になります。それは排水量とバラストとセール面積のバランスがあり、バラストは排水量に含まれる。高いスタビリティーは望む処ですが、上りスピードには限界も出てくる。その点、下りのスピード追求には可能性がもっと広がっている。

現代の多くのヨットのセーリングはそういう方向性にあると思います。それで大きなメインセールとジェネカーという組み合わせ。という事はジェネカーというセールを使う事が前提になります。それで、ジェネカーをもっと使いやすくする為にポールを突き出し、ファーリングにする。そういう流れなのではないでしょうか？

最近の新しいヨットには、ポールが設定できるようになっていたりします。マストメーカーのセルデン社からは、バウポールの後付けキットも販売されています。これからのセーリングにはジェネカーは欠かせないセールになっていくのかもしれません。これを楽に使いこなせるようになると、セーリングは変わりますね。

その下り用のセールですが、微軽風用という考え方をしても良いかもしれません。ある程度風が強いならジブとメインでも十分走る。でも、微軽風になると物足りないのでセール面積を増やしたい。リーフの反対です。それで、コードゼロの様なデザインで軽いスピン生地で、微軽風の上りからある程度の下りまでをカバーしていくというのも有りなのではないかと思います。コードゼロは微軽風の上り用ですが、そういうセールを下りにまで使っても良い。微軽風用としてと思います。

上りはセーリングにおける醍醐味のひとつ。ただスピードだけを狙うわけじゃない。だからスタビリティーはやっぱり重要です。それも味わって、下りのセーリングも味わう。スピードも重要ですが、デイセーラーはセールフィーリングが大事です。

写真はアレリオン３０のオプションですが、カーボンバウスプリット。もちろん、ジェネカーも良し、コードゼロも良し、もちろんファーリングにして使えばシングルでもやり易いですね。これでセーリングをもっと進化させましょう。微軽風により工夫をするというのは、セーリングがもっと面白くなると思います。