第三話 マニュアル



      
いろんな物が自動化していく中、セーリングはマニュアルを楽しむ処に面白さがある。もちろん、自動化する事は難しくは無いのかもしれない。しかし、もしそうなったら、一体何を楽しんだら良いんだろう?もちろん、舵をオートパイロットに任せる事はある。しかし、それには何らかの理由があっての事、操作をしないで済む事で、楽になる事を楽しんでるわけじゃない。オートパイロットはあくまで補助である。

舵を自分で握って操作をする。それが面白いから。セールを調整する。それが面白いから。コンピューターがやってくれるなら、自分の意思は無くなる。コンピューターが操作した方が速いだろうけど、自分で試行錯誤の操作の方が面白い。

人間は変な生き物で、効率を目指し、楽を目指し、それが進化として発展してきた。しかし、面白さという面から見ると、人の感覚はいわゆる一般的な進化の中には無いのかもしれない。同じスピードで同じセーリングだとしたら、コンピュータで走らせてるのと、自分の試行錯誤の結果得たセーリングとどっちが楽しめるか?これは明らかではなかろうか。

という事は、我々が楽しむ場合、自分でマニュアル的に操作した方が良いという事になる。もちろん、程度問題はある。だから、あくまで機械はサポートとしての役に徹した方が良い。遊びなのだから。遊びだからこそ。面白さは、自分自身の肉体や頭脳や感覚を使う処にある。要は人間が持つ基本的な機能に対する刺激であり、その刺激は多い方が面白さを感じる。ただ、程度問題もあるので、そのあたりは自分で考えて調整する。

電動ウィンチも良いし、ファーラーも良いし、オートパイロットも、文明の利器をおおいに使うのも良い。しかし、自分の面白さとのバランスをとる必要はあるとは思います。



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