第五十六話 デイセーラーの旅


      

デイセーラーに割り切って旅を捨てるなんて言いません。ただ勘違いして欲しくないのは、デイセーラーがその名前を名乗るのは単にキャビンが狭いとか、装備がシンプルとかそういう理由に過ぎない。キャビンの居住性を重視していないだけ。船体はむしろ、そのへんのクルージング艇よりずっと強いし、実際、デイセーラーでサンフランシスコからハワイに行った奴も居る。そう言えば、2,3年前、日本に来た奴も居た。

だからデイセーラーで旅を楽しんでも良い。豪華なでかいヨットでの旅に憧れるかもしれないが、でも、キャンプ気分みたいな旅も逆に面白い。それが非日常というもんです。日常は快適に、非日常は少々ある意味冒険を。そんなキャビンでも近場の1泊か2泊程度なら十分、狭いキャビンなんて問題じゃ無い。寝袋で良いじゃないですか。もちろん、ホテルだってOK,気楽に考えましょう。

デイセーラーはセーリングが面白いんだから、行った先でセーリングを楽しむという手もある。風景が違うし、島々なんかあるときっとセーリングがもっと面白くなると思います。こういう時はクルーズセーリングかな?

ちょっとやせ我慢して、あれも要らない、これも要らないと考えてみては? そうしたら、ずっと気が楽になる。ドジャー要らない、ビミニも要らない、季節の良い時なら快適です。だから旅は季節の良い時に。清水要らない、ペットボトルで間に合う、冷蔵庫要らない、アイスボックスをコクピットに転がしておけば良い、でも、携帯のコンロぐらいは欲しいかな。美味しいコーヒー飲みたいし。トイレが個室じゃ無くたって、入口の差し板閉じてしまえば、でっかい個室トイレだ。おおらかに行きましょう。もちろん、個室トイレのデイセーラーだってありますが。

全てが整って、全てが出来上がった様なヨットより、余程、この方が面白いと思うのですが?それで、普段はやっぱりデイセーリングを遊びます。セーリングはこのヨットの得意技です。

人は常に快適を求めます。でも、度が過ぎると、今度は面白さを失ってしまうのかもしれません。自分の遊び心が便利さに駆逐されてしまうのかもしれません。だから、程々に。


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