第七十話 大型艇ラッシュ


      

皆さんお気づきかと思いますが、最近では大型艇が目立ってきました。海外のボートショーでは大型艇の出品が多くなり幅をきかせている。その大型艇を支えるのが装備品の進化です。バウやスターンのスラスターで大型艇でもマリーナからの出し入れが容易になってきた。

これにいつものフル装備の内装だから、快適ヨットライフを容易に想像できる。時代はいよいよ快適の絶頂に達してきたか? ボートは当然そうなんだが、ヨットも快適性の追求に邁進している。しかし、この事が結局はヨット離れを促す事になっていくのではなかろうか? ひたすら快適性を追求すると、それを実現する為の装備が開発されていく。それは快適だが、本来のセーリングという意味が薄れて行く。

あるアメリカの大型艇オーナー、もうひとつ自分用のデイセーラーを購入した。このオーナー曰く、大型艇とデイセーラーの使い方は全然違う。大型艇ではいわゆる快適性を享受し、デイセーラーではセーリングを楽しむ。結局、殆どはデイセーラーでセーリングを楽しむ方が圧倒的に多くなった。大型艇もセーリングはできるが、やっぱり違うんですね。

快適性を求めたら大きい方が良いし、フル装備が良い。でも、そうなるとゆくゆくはパワーボートの方が良いとなり、ますますセーリングから離れてしまう。それで、ちょっと待てよと思った人は、再びセーリングに戻る。要は、思考が快適性を求めるのか、セーリングの面白さを求めるのかの違い。大型か小型の問題では無く、目指した思考の違いではなかろうか?

思考がセーリングにあるなら、大型でも小型でも問題は無い。しかし、快適を求めたが故の大型化が今の流れだろう。だから、大型化になり、ゆくゆくはヨット離れ、ボート志向へ、という事かもしれない。ヨットを選択する理由の第一はセーリングにある。セーリングは快適性を凌ぐ面白さがあると思います。そろそろ快適志向を考え直したらどうか?

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